てっぺい

NOPE/ノープのてっぺいのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.0
【ノー内錯乱映画】
“絶対に見てはいけない”飛行物体の恐怖の2時間。見終わり見上げる空にソレが見えてくるほど“ノー”が錯乱する。日本のアニメ要素も見え隠れ。この映画は“絶対に見なくてはいけない”。

◆トリビア
〇本作に登場する架空のアミューズメントパーク「Jupiter’s Claim」が、実際の「ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド」のアトラクションに加わったほか、バーチャルツアーが楽しめるウェブサイト(https://www.jupitersclaim.com/)もある。(https://www.cinemacafe.net/article/2022/07/08/79717.html)
〇監督のジョーダン・ピールは「AKIRA」ファンを自認しており、実写映画版の監督オファーを受けていた人物。本作でも「AKIRA」を明らかにオマージュした、バイク急ブレーキカットがある。(https://theriver.jp/nope-feature/)
〇監督は「新世紀エヴァンゲリオン」も大好きで、本作に登場する飛行物体は”使徒”の影響を受けている。(https://www.cinematoday.jp/news/N0131952)
〇監督の前作「アス」に登場した架空のファストフードチェーン「コッパーポット・コーブ」が本作でも登場する。(https://screenonline.jp/_ct/17565460)
○ アメリカでの公開3日間で興行収入4436万ドル、コロナ禍での米興収最高を記録した。(https://theriver.jp/nope-feature/)
○本作の製作費は6800万ドルで、ジョーダン監督の第一作『ゲット・アウト』の450万ドル、第二作『アス』の2000万ドルから大幅に増加した。(https://realsound.jp/movie/2022/07/post-1085431.html)
○監督のジョーダン・ピールはコメディアン。(https://www.banger.jp/news/82896/)
○IMAX上映鑑賞者限定でミニポスター(A3)がもらえる。(https://www.entanow.com/nope-4d/)

◆関連作品
○「ゲット・アウト」('17)
本作同様、ジョーダン・ピール監督とダニエル・カルーヤのタッグ。監督の長編映画第一作で、第90回アカデミー賞作品賞ほか4部門ノミネート(脚本賞受賞)作品。膨らんだ風船が破裂するようなスリラー映画です。プライムビデオレンタル可(100円)。
○「アス」('19)
ジョーダン・ピール監督の長編映画2作目。ドッペルゲンガー家族が襲ってくる衝撃のスリラー映画。プライムビデオレンタル可(100円)。

◆評価(2022年8月26日現在)
Filmarks:★×3.9
Yahoo!映画:★×3.4
映画.com:★×3.5

◆概要
【監督・脚本】
「ゲット・アウト」ジョーダン・ピール(本作で長編監督3作目)
【出演】
「ゲット・アウト」ダニエル・カルーヤ
「ハスラーズ」キキ・パーマー
「ミナリ」スティーブン・ユァン
【撮影監督】
「TENET テネット」ホイテ・バン・ホイテマ
【公開】2022年8月26日
【上映時間】130分

◆ストーリー
田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、生計を立てているヘイウッド家。ある日、長男OJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりしていたところ、突然空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていた。長男は、父親の不可解な死の直前に、雲に覆われた巨大な飛行物体のようなものを目撃したことを妹に明かす。兄妹はその飛行物体の存在を収めた動画を撮影すればネットでバズるはずだと、飛行物体の撮影に挑むが、そんな彼らに想像を絶する事態が待ち受けていた。


◆以下ネタバレ


◆恐怖
“見てはいけない”圧迫感、“得体が知れない”恐怖感、“巨大すぎる”絶望感。家の上空に嵐の中居座る場面や、ラッキーを吸い込んだ巨大な口でOJを襲ってきたUAPには、思わず映画館で声が出た笑。「メッセージ」でも感じたあの得体の知れない恐怖感。「ジョーズで海面を見つめたように、本作を見た人たちが空を見つめるようになるといい」と語った監督の言葉の通り、あの広大な大地と広い空、本来壮観な情景に圧倒的な異物が混ざり込んだリアルな恐怖は、映画館を出た後の見上げた空に十分妄想が働くほどだった。

◆見せもの
冒頭、聖書の引用にあった“見せものにする”。人気番組の猿のゴーディーが狂乱したこと、見せものを稼業にしていたリッキーが犠牲となったこと、そして、UAPを撮影しようとする兄妹達に襲い掛かる恐怖は、その“見せもの”というキーワードで共通する。UAPは捕食をしては無用なものを吐き出す、“見せもの”という概念の象徴としても描かれていた、と解釈できると思う。

◆メタファー
兄妹の曾曾曾祖父が、初めての映画とされる「動く馬」の騎手でありながら、結局は世に知られていない無名の黒人であり、その名を冠した牧場を家族代々引き継いできた。OJが馬に乗りUAPを翻弄する様は、もはや地球にとっての英雄であり、同時に先祖の姿そのもの。活躍の証拠写真撮影にも成功し、記者達の集まる場に現れたOJの姿は、黒人である事の威厳を改めて示しているよう。前二作で白人至上主義やカーストを描いたピール監督が、本作でもしっかり残した黒人監督としてのアイデンティティだと思う。

◆アニメ
姿も変えるあの異様なUAP。前述の通り、“使徒”の影響がある事を監督も認めていて、よく見ればUAPは第10使徒サハクィエルのようでもあり、第5使徒ラミエルのようでもある。そもそも子供達が被っていた宇宙人の仮面は第3使徒サキエルと瓜二つ。自分がバイブルと崇めるAKIRAのオマージュシーンもしっかり見届けたし笑、バイク記者のヘルメットは個人的には巨神兵。日本人としては、本作の楽しみ方の一つにそんな見方もあっていい。

引用元
https://eiga.com/movie/97088/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/NOPE/ノープ
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