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NOPE/ノープのandesのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.0
不気味さとユーモアが同居した作風に磨きがかかり、今回は輪をかけて説明が少ない。SF映画ながら荒唐無稽で突っ込みどころは多いものの、演出が上手く引き込まれる。
多くの「地雷」をギリギリ回避できているのは、コメディ要素も大きい。勢いだけのバカアクションとしてもいけるし、持ち前の「黒人問題」をベースに「動物(見世物)への搾取」も叩き込んでいる。それでいて、「映像」そのものへのメタ的な視点や「映像史」「映像作家」へのリスペクトも感じる。なにより、「映像」で語ろうとしているのは好感が持てるし、「フィルム」への憧憬は心を動かされる。
恐らく、合わない人には全く合わないと思われるが、かなりの情報量がある映画。スコセッシはもとより、タランティーノよりも2世代離れているジョーダン・ピールが「映像」を武器に映画を撮った。作中で、最初の「映画」=連続写真として紹介されるマイブリッジは白人で、“主演”騎手の黒人は忘れ去られた。クライマックスでは「連続写真」がポイントとなり、主人公の騎手は言わずもがなヒーローである(ジャンル映画やジャパンアニメへのオマージュは照れ隠しか)。
作中、ある人物が「映像に収めることは、金とか名声以外にも、意味があるよな?」と問う。誰もがカメラを持つ現代、大胆不敵な映画である。
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