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NOPE/ノープのbibooのネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

題材自体はB級になりかねないテーマなのに、事実と虚構をものすごいうまいバランスで混ぜながら、こんだけドキドキ楽しめる大衆作品としてアウトプットするセンスがすごい。こういう謎の未確認生物が襲ってくるような題材だと、だいたい予告がピークで正体判明した時の残念感とか盛り下がりがすごかったりするが、正体判明しても息を飲んでハッとしたり緊張感が続いたのは、IMAXレーザーで視界一杯に正面から目の当たりにできた効果も大いにある気がする。なので、携帯とかPCとかちっさい画面で見たら全然興奮できないと思うし、見る形態で全く感じ方が変わる作品だと思う。
ノーラン作品で有名なホイテ・ヴァン・ホイテマが撮る馬やバイクの逃走シーンの迫力もさることながら、観客目線でのドキュメンタリックなカメラワークもうまく組み合わさっていて、絶妙に興奮が止まないサイコホラーになってる。
IMAX規格用に画面がワイドに開くと、Gジャンが近づく合図だというのがわかりやすいため、事前に「くるくるくるくる…」と予想がつきながら見たが、それが驚きを半減させるわけでもなく、むしろジェットコースターのレーンに登る最中のような心持ちでアトラクションのように楽しめたし、観客の常に半歩先を行った裏切りと緊迫感を持続させる構成が面白かった。監督も参考にしたというエヴァの使徒みたいな最終形態になってからは全然怖くなかったが、人形の風船を獲物と間違えて飲み込み自滅するというオチがポップで、それが鑑賞後の後味の良さにもつながっている気がした。
直立した靴の謎とかまだ気になるところはあるものの、今後続々と出てくるであろう考察記事とか読みたいと思う。

生き残った人がみんな、たまたまとは言い難いほど抜群に運がいいから、自分だったらどうするだろうとか考えた。OJたちのように映像をおさめて一攫千金を狙う展開は、電車内でのパニックとか災害を間近で撮ったスマホ動画がワイドショーで出回る昨今へのカウンターにも取れた。そういう行動っていうのはある種、人や自分の命の裏にでかい欲望があっての行動であり、そういう注目への執着が本作内でそれぞれのキャラクターを通して散りばめられてるのも興味深かった。
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