GAKKY

NOPE/ノープのGAKKYのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.3
2022年 / 60本目

・スペクタクルに取り憑かれた現代人
・終わらない人種差別(や社会問題から目を背けるな)

これが大きなテーマでしょうか。

目の前の凄いもの、素晴らしい情景、それらに対して現代人は自分の目で見るよりも記録する事を優先する。

自己顕示欲や承認欲求に満ち溢れた人たちで溢れかえっている現代社会。
そこに金銭が絡む事で、自然さは失われた、その欲を満たすために作られたモノにみんな惑わされている。

自分にも当てはまる事もあるので偉そうなことは言えませんが、ミラーのヘルメットの人に話しかけたOJもエムも、言わば自分と対話してるような感覚なんでしょうね。

最後二人は、その目の前の現実から目を背ける事なく戦って、支配から解放された。


冒頭でいきなり出てきた馬の動画は、まさしく人種差別を表していて、エドワードマイブリッジの動く馬は、馬主と馬の名前は記録されているけど、乗っている黒人騎手の名前は記録しておらず、ジュピターパークの部屋でもあった黒人子役の現在も、誰も知る由もなく、元々そこにいなかったかのような扱いを受けている。

父親の命を奪った5セント硬化ってのも皮肉ですね。


リッキーは、きっとあの状況下でもゴーディとの友情を感じ、靴が立っていると言う最悪の奇跡を経験した事を大切にしていたと言うところで、Gジャンも自分なら手懐けられると思ったんでしょうが、見られる事に対して怒りが爆発したゴーディとリッキーの間には一つ半透明のテーブルクロス(?)があり、それが見られる事へのストレスを緩和したのか。

私はあなたの上に汚物を投げつけ、
あなたを辱め、見世物にする

要するにリッキーはこの時のことを勘違いして同じことを自らGジャンに対して繰り返していたと言うところですね。またこれも人は過ちを繰り返すと言ったところでしょうか。

黒人も同じように馬鹿にされ差別を受け、最悪命まで奪われる、そんな支配から解放されると言う日が来ることを願いながら、エンタメとして消費されるだけではなくて、ジョーダンピール監督の伝えたい事が少しでも広まれば良いなと願うばかり。自分もまだまだ全然咀嚼できていないので、自宅でも見られるようになったら何度も見て理解を深めていきたいです。
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