過去2作「アス」、「ゲットアウト」と比べると、エンタメ性と社会性のバランスがまた違っていた。スペクタクル大作映画としてエンタメ性は増しながら、社会的なメッセージは一見分かりづらくなっている。そこに気づけるかによって物語の深みが変わるのだと思う。
私も鑑賞当初はそれに気づけなかったが、鑑賞後に理解して後天的に印象が変わっている。
思い返せば｢見ること｣の暴力性というものを考えたこともなかった。そういうものだと心の中で思い込んでいたのだと思う。この問題提起と目を合わせること。また、「ゲットアウト」で示された差別問題、「アス」で示された格差社会、エンタメ作品の奥に隠された真意と目を合わせることで、鑑賞者は一生この問題から逃げられない。劇中における目を合わせることとリンクする。
猿も人の理解の及ばないGジャンでさえも見せ物として消費しようとする人の醜さが確かに描かれていた。
日本作品のモチーフも数ヶ所あるようだった。Gジャンのビジュアルはエヴァ的と捉えれる。金田のバイクアクションは物語の終盤すぎて少し笑ってしまった。
