悪魔の毒々クチビル

NOPE/ノープの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.5
不可能を撮れ

牧場の上にUFOみたいな飛行物体が現れたので、経営者の兄妹がバズらせ目的で何とかカメラに収めようとするお話。

ジョーダン・ピールの3作目の監督作品です。
個人的に「ゲット・アウト」は結構好きでしたが「アス」が超つまらなかったので、今作もちょっと敬遠気味でしたがUMA的な題材が大好物なのもあって結局観ちゃいました。

まぁ「アス」よりは良かったかな。
ただそっちで不満だった作品のクオリティをないがしろにしてまで押し付けてくるメッセージ性はそのままで、もうこれは彼の確固たるスタイルだと思うのでそこはどうしようもないのかもしれない。
今作も冒頭で聖書の一文が登場して激萎えでした。

細かい演出の解説なんかは触れたくなる程面白くはなかったのでここでは省きますが、「支配欲が身を滅ぼす」という警鐘は割と作品内のフックとして昇華されていてここら辺は良かったかな。
全体的にゆっくりとしたテンポな分、あのチンパンジーのエピソードは中々強烈な要素でしたね。
スティーブン・ユァンのキャラも上手い事出来ていたとは思います。

あと今作のUFOが予想外な存在で、そこも興味深かったです。
あのカメラ設置してUFO探す所もね、何かワクワクしちゃうよね。「ここの雲だけ動いてないんだ」と言われた時はこっちも「あ、本当だ!」とね。
家に降り注ぐ大量の血の雨もホラー染みていて印象的でしたが、相変わらず妙に小綺麗というかブルータルな描写を敢えて避けているかのような傾向も相変わらずで変な物足りなさは残ります。

最近話題の監督だとアリ・アスターなんかと同じくプロットやジャンルに多少の違いはあれど観客の度肝を抜くような作品を撮るのに、「今後もこういう作風なんだろうなぁ」と容易に想像出来ちゃうタイプでもある監督だなと改めて思いました。
そう言えばアリ・アスターも「ヘレディタリー」は大好きなのに「ミッドサマー」は全然嵌まらなかったな…
因みに今作には予告ではあったとある場面が本編ではカットされていて、ジョーダン・ピール曰くそこの掘り下げもいつかしたいとの事なのでもしかしたら続編なりスピンオフなりが製作されるかもしれませんね。


あ、私事ですが新年明けて早々に内臓の某箇所をやってしまいまして、実際死ぬ事は無いですが死ぬ程痛い思いをしたりとてんやわんやだったもので最近フィルマもろくに開く元気もなかった為、暫くTLに無反応で申し訳ない。
まぁまだ治ってはいないけど入院もしていないし、取り敢えず来週のUnearthのライブには行けそうで一安心ですね。
皆も健康的な生活を心掛けような!