いつからか空に現れた未確認飛行物体を映像に収めようと奮闘する兄妹を描く。意味深だし不思議、予測ができなかったスリラー・サスペンス。未確認飛行物体についてその存在を濁さず、しっかりと物体的に映し出すところも好印象。謎に満ちた「空」の不気味さと美しさを大きなスクリーンで見たかったな😫（140文字）
＊＊＊＊以下ネタバレあり＆乱雑文＊＊＊＊
★致命的なネタバレ予測が可能な記載がありますので、未鑑賞の方はご注意ください
◆あらすじ◆
事故で亡くなった父親からカルフォルニア、ロサンゼルス近郊にある牧場を受け継いだ息子のＯＪ。事故は飛行機から部品落下したものが不運にも当たったためとされているが、ＯＪはその時目にした謎の飛行物体を忘れられず、父親の死を引きずっていた。ある日の夜、OJと妹のエメラルドは家の電子機器が全て使用不能となったことをきっかけに、空飛ぶ円盤のような形をした未確認飛行物体(UFO)が牧場の空に潜んでいることに気がつく。その映像を撮影して金儲けをしようと考えた兄妹は、監視カメラを設置し、飛行物体の撮影に挑むが…。
❶苦手な要素が多かったので、映画館での鑑賞を見送ったけど…
ジョーダン・ピール監督作品を見るのは「ゲット・アウト」「Us」「キャンディマン」に続いて4作目。ホラーをベースとしつつブラックコメディ色を差し込み、強いメッセージ性を激しく顕わにしながらも手堅くヒットを飛ばしていく、今のホラー洋画界を牽引する監督の1人…という印象。でも私はどうも彼の作品が苦手（一番評価されている「ゲット・アウト」が一番ワクワクしなかった）。そして今回のテーマはオカルト分野で私が珍しく興味がないUFO系っぽい…しかもエンタメジャンルの中ではトップクラスに食指が動かない「SF」と紹介されている…。ということで、映画館での鑑賞を避けてサブスクを待っていた。鑑賞した結果は「あ～😖映画館で見ておけば良かった～」と後悔！
❷展開が予測不能だった、意味深で不思議なSF系サスペンス・スリラー
父親の死に関して未確認飛行物体が関わっているのではと信じる兄とその妹が、経営難に陥った自分たちの牧場を救うため、未確認飛行物体を映像に収めようと奮闘し、紆余曲折を経て成し遂げる。ストーリーラインはそれだけ。にもかかわらず、オカルトジャンルが変わっていくタイプで、その都度の展開や着地点が予測不能、不思議なスリラー・サスペンスのような作品に仕上がっていた。
前半は監督らしい（と私は思っているのだけど…）不気味で意味深・謎めいたシーンが続くが、全体的にゆったりのテンポなので「次は何が起こるのか…」「これはどういう意味なのか…」などこちらも“ゆとり”を持って構えることができる。そしてスロー過ぎて間延びしそうなところに差し込まれる、直接的に何が関係しているのかが不明である（考察ありきか、メッセージ性に関与する部分か）「チンパンジーのゴーディのお話」がアクセントとなっていて退屈しなかった（そしてホラーパートとしてはこのゴーディの演出が一番怖かった）。
また、未確認飛行物体についてその存在を濁さず、しっかりと物体的に映し出すところも好印象。視覚的に見せてくれる面白さというか、これまでの作品よりもエンタメ成分が多めに感じ、❶で述べたような映画だと予測して苦手意識を持っていた私でも楽しめる作品だった。
❸謎に満ちた「空」の美しさは大きなスクリーンで見たかった…
映画館で見れば良かったなと一番後悔したのは、「空」がメイン舞台となっているホラーであり、「空の引き絵」が美しい映画だったから。空から突然やってきた巨大で得体のしれない“それ”の不可解さ、空に隠れていている“それ”の不気味さ、そして“それ”が空から襲い来る恐怖…。最後に全貌が明らかになる“それ”との闘いも含め、壮大でシュールで美しいという「おもしろ映像」は大きなスクリーンと没入感があるスペースで見たかったかも。
❹ところで…この映画のメッセージとは？
この監督の作品で強めのメッセージ性が入っていないなんてことはないと思っているのだが、本作は「（エンタメとして）見世物にされて（金銭のために）消費される全ての存在たちの怒り」っていうことで良いのかしらん？？いつもはこの部分が強すぎて私はこの監督に拒否反応を示すのだが、本作は随分と鳴りを潜めていて見やすくなっていた。
🛸🐝「ジャンルも含めなんとも表現できない不思議な感覚の映画でしたが、私は今までで一番好きでした。巷の噂でゲット・アウトなどが好きな人があまりこの作品は評価せず、逆の人は好んでいるという話も聞いたので、その傾向は確かに少しはあるのかも？それにしても、私はあまり心躍らないジャンルですが、みんな未確認飛行物体とか異星人とか好きですねぇ、やっぱり宇宙の生命体はロマンなのだろうか？🤔」
