カタクチイワシ映画レビュー

NOPE/ノープのカタクチイワシ映画レビューのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.9
ジョーダン・ピール監督はあったま良いなぁ〜。毎回良い意味で当初抱いていた作品の印象を裏切ってくる。全てに計算し尽くされた意図があるというか、バカな私の頭にも自然に働きかけてくる様な知的さがありますね。ホント凄いや。

映像の“見る” “見られる“という特質、その本質をこういうふうに作品で表現してきますか。
劇中でもそれは映画・テレビ番組・動画として“見る”側の支配性、搾取行為として描かれてました。逆に主人公達が当初やろうとしていた動画撮影はある意味承認欲求的な“見られる”行為でもある。
そして“見る・見られる”相互関係の崩壊、パワーバランスの逆転があのシットコムであり,問題のUFO(仮)ですよね。

これだけでも十分面白いのにそれをストーリー上の展開・演出にも盛り込む監督の手腕。主人公兄妹の関係性と2人の間で通じるあのサイン。セリフなどではなく、文字通り映画という映像演出として“見せて”くれるんですもん、マジ脱帽です。
直前の超アガる展開からあのシーンに繋げられたらそりゃアンタ、出るもん出ますよ…(泣)。

ディテールも細かいです。正直私なんか全然分かってない。アレはどういう意味なんだろうとか、何を表してんだろうとか、とても全てを拾いきれない。作品の細部まで見られる方は読み解きが捗ること請け合いです。


ホラーからアクション、果ては西部劇まで盛りだくさん。単純にUFOものかと思ってたらまさかの「そっちかよ!」という驚きもありサプライズ感も満載。ぶっちゃけジョーダン・ピール監督作中1番好きになりました。観ていない方には是非、今からでもオススメです!