サンタフェ

NOPE/ノープのサンタフェのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.6
なんか今の時代の映画の立ち位置を見つめる上で面白い作品でした。

観た感想として一番大きかったのは「なんか映画って贅沢だな…」というところでした。

原作の時点で人気の高い作品の映像化というわけでもなく、愛だとか感動だとか人生の背中を押してくれる熱さとかそういった普遍的なメッセージがあるわけでもなく、史実的価値があるわけでもなく、現代社会の抱える問題に一石を投じているわけでもなく、本当に「見上げる×IMAX画角」というワンアイデアをやりたかっただけですみたいな趣きの作品を、これだけ贅沢に映像化できるんだから、やっぱ映画って贅沢な媒体だなって感じました。

特に最近はドラマやユニバース構成という長尺の形式や、映画は巨大IP作品が目立っているので尚更。良い意味でもあるけど、悪い意味でもめちゃくちゃ牧歌的だなと感じてしまいました。

上記のメッセージ的な意味でも、アクションやCGといった映像的な意味でも、凡庸とまでは言わないけど、ホラー?パニック?映画としてさえも正直全然特別な何かは感じなかったので、本当にIMAX画角に最適化したワンアイデア映画と感じました。そのためか、なんというか本作を観て余計に4KとかHDRとかDolby Atmosとかに比べて、IMAX画角という技術の意義ってそれでいいんか…?となってしまいました。

一方で、本作のワンアイデアさとIMAX画角という映画館でしか全く感じられないだろう面白さの仕様から現在とこれからの映画の立ち位置を感じる面白さがあったのは事実でした。

ドラマの制作費がどんどん巨大化する現代において、今はもう”物語”を映像化するなら尺の問題で映画よりドラマの方が適している時代になってしまったわけですが、じゃあ映画ならではとなるともうこういう劇場でのアトラクション体験がメインになっていくのかな…という気持ちを抱かせる作品でした。こういったアトラクション的なワンアイデア作品か、あとはマリオのような巨大IPの劇場版的存在の映画が今後はよりメインになっていくのかなと予感させました。
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