「ゲット・アウト」が面白くて、同監督の本作も劇場公開から気になっていたが、このラストを観た直後は・・・これは、壮大なスケールで超ハイクオリティなある種のSFコメディだったのかな？と一瞬本気で思ってしまった。物凄く不穏な空気感から想像しえぬ、予想外の爽快なラストに、自分のこの作品の観方は正しかったのか！？とちょっと不安になった。
が、一見関連性のないようなチンパンジー“ゴーディ”のくだりや後半の展開を考えると、人間の持つ“あらゆる生き物をコントロールでき、そこから富を生産できる”という慢心や愚かさを皮肉った作品なのだろう、という結論に辿り着いた・・・が、実際のところどうなのでしょう？
正直なところ、本来はシンプルな地球外生命体侵略物ではあるのだが、「ゲット・アウト」でも光った、不穏感と先がどうなるか読めない伏線を散りばめた展開と緊張感を持たせた演出の巧さで、前半はSFホラーとしてグイグイ引き込まれていった。
が、後半はホラー色から、一気にSFエンタメ色が強くなり、緊張感が抜けて、作品の色合いが変わった印象があったが、あれだけの恐怖の中でも、人間の抑えられない欲求が働く、という思わずコメディと思ってしまった滑稽さとSFエンタメ的映像で、最後まで興味を失うことなく楽しむことができた。
