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NOPE/ノープのatomaのネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画は、映画館で観るべきだったなあ。

途中でジャンルが変わるタイプの映画で、ホラーテイストで始まり、中盤でUFOものであることが明かされ、最後は謎の飛行物体に対決を挑むモンスターパニックに。(『AKIRA』スライドもあるよ!)
個人的には、ジャンル越境的な作品があまり得意ではないことを自覚させられた一本。

設定の説明と不穏なホラー描写が並行して進む前半部では、まだ謎現象の背後に意志が見出されない。
このパートで群を抜いて怖かったのは、夜の厩舎で小さな宇宙人と遭遇する(実は子供の悪戯であることが分かる)シーンで、『回路』のあそこみたいな不気味さがある。
のだが、中盤を超えるとこの映画の真の主役である円盤があっさり姿を見せる。ここから先は、円盤の意志のようなものがはっきり現れ、ジャンルは急速にモンスターものになっていく。

後半部では、エイっぽかったり、カツオノエボシっぽかったり、エヴァの使徒っぽかったり、様々に姿を変える円盤を相手に、『ジョーズ』的なチームが『ジョーズ』的な戦いを挑み、『ジョーズ』的な方法で最終的勝利を収める。
特に主人公OJは妹を守るためにある作戦を採るのだが、このシーンは音楽や撮影もブチ上がって、前半で見せていたあまりに内気な姿からの大変身に思わず涙。馬も一生懸命走ってて可愛い。

ただ、やはり気になるのはオランウータンとジュープが中心となるサブプロット(元になった事件もあるらしい→https://ja.wikipedia.org/wiki/トラビス_(チンパンジー))。めちゃくちゃ面白いし恐ろしくもあるんだけど、メインプロットと交差するわけではないのが拍子抜け。
両方とも、対話不可能な存在をうまく飼い慣らしたつもりになって利用してたら、実際には全然飼い馴らせていなくて復讐される話、しかも「(見られることなく)見ることの搾取性」という本作のテーマとも関連して、関係ない話ではないことは分かるんだけど、単に同じ話が二回繰り返されただけなのか?(24/5/1)
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