かずぽん

NOPE/ノープのかずぽんのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.3
【目を合わせるとヤバいやつ】

監督:ジョーダン・ピール(2022年・米・131分)
原題:Nope

オープニングの(地球が回っている)ユニバーサルのロゴのシーンに被せて男女の会話の声が入ります。そして女の子の声で「ノープ!」字幕では「ありえない!」となっていました。(で…何だったの?)
そして、次のシーンは25年前。チンパンジーのゴーディが出るドラマのスタジオ。撮影どころか、ゴーディが暴れて女の子は噛みつかれ、他の出演者も殴られて血みどろの惨劇の現場と化しています。
次のシーンは、カリフォルニアにある“ヘイウッド・ハリウッド牧場”
西部劇などの撮影用に貸し出すための馬を調教しています。白馬に乗っているのは父オーティス・ヘイウッド(キース・デイヴィッド)で、彼と話しているのは息子のOJ・ヘイウッド(ダニエル・カーヤ)です。奇妙な音が聞こえて来て空を見上げるとコインが降ってきて父親に直撃。父は亡くなります。ノープ!

チンパンジーによる惨劇はインパクトもあり、恐怖もリアルに感じました。
父親が亡くなる事故も、この映画の雰囲気を知るには十分に奇妙でした。そして、過去の惨劇のドラマに出演していた(かつての子役)のリッキー・“ジューブ”・パーク(スティーヴン・ユアン)が、この後の展開に関係してきます。

一つ一つのシーンは理解できるのに、劇中のモチーフ同士の関係が分からない…
ジョーダン・ピール監督にとっては、空で起きている奇妙な現象――浮かんでいる雲の位置が1ミリも動かない。雲の中に何かいる!それはUFOか?(今はUAP…未確認空中現象というそうですが)というのが映像的にはメインで、ストーリーの背景、あるいは根底には人種差別のテーマがあったようです。
特典・メイキングを先に観た方が分かり易かったかも知れませんが、私には監督が欲張りすぎたようにしか思えません。(私の理解力がないのか…泣)

****此処から、ちょっとネタバレします****

一番の衝撃は、雲に隠れているものがUFOではなく生物だったことです。メイキングでその生物の姿や形をデザインするのに参考にしたのが、「ランの花」「蛸の目」「七年目の浮気のモンローの舞い上がるスカート」「クラゲ」等々が挙げられていましたが、まるで「シン・ゴジラ」の形態の変化のような七変化ぶりでした。私的には、あの最終形態は「巨大なクリオネ」に見えました。
でも、私がいちばん怖いと思いつつも惹きこまれたのは、OJの車の真上に留まる“何か”と、その“何か”が吐き出す金属や血の場面でした。
近くのテーマパークで「星との遭遇体験」というイベントがあり、多くの人が「最悪の奇跡」の目撃者(体験者?被害者?)になってしまいます。
アイツと目さえ合わさなければ、危険は回避できるのですが、証拠となる写真を撮ろうとする時、たとえレンズ越しだとしても「見る」という行為になってしまうのですね。
分かったような分からなかったような支離滅裂な感想ですが、実は私、案外楽しんで観ていたようです。自信をもっておススメは出来ませんが、一見の価値はあるかも。
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