かりんとう

NOPE/ノープのかりんとうのレビュー・感想・評価

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
3.6
ジョーダン・ピール監督の長編作品は
「ゲットアウト」「US(アス)」に続き三作目。
今までとは予算も志向も変わっているので、言われなければジョーダン・ピール作品とは気づかない(とはいえプロモーションの段階で大々的にジョーダン・ピール最新作を謳っているのだけれども)。

今作のキーワードは最悪の奇跡。
ありえない角度で立ったスニーカー、空の異物が吐き出したものに当たって死亡…物語の随所に散りばめられtだ「最悪の奇跡」だが、やはりこれまでの作品と比べるとその哲学が難解。
大部分の日本人が苦手な旧約聖書がモチーフとか引用になってくると、一気に敷居が高くなってしまう。
もちろん今作は旧約聖書?なにそれおいしいの?というレベルの人でもそれなりに楽しめるエンタメ作品ではあると思うが、そういう方は同じ宇宙人襲来ものでは「インディペンデンス・デイ」のほうが美味しくいただけるのであろう。


ジョーダン・ピールの持ち味というか一貫したメッセージ性というのは、人間の潜在的な差別意識を皮肉とともに浮き彫りにする手法だと思うが、今回はそれがあまり全面に出てこない。
だから過去二作品ほどの強烈なインパクトや、それまでの価値観をボッキリと折られるような衝撃的な体験はできなかった。

彼にはあまりスケールの大きな作品は向いていないのかも?