リプリー

炎の少女チャーリーのリプリーのレビュー・感想・評価

炎の少女チャーリー(2022年製作の映画)
3.9
スティーヴン・キングの「ファイアスターター」二度目の映画化。
といってもキング作品にしては珍しく、本作に関しては原作も未読。さらに旧版の未見(というか旧版は、今も昔もなぜか見づらい状況にあるし、原作も絶版状態ではあるのだが)。
なので、本作単体の評価になるわけだが、僕は結構気に入った。好きでも大好きでも、もちろん傑作でも良作でもなく「気に入った」という表現がしっくりくる。交際や結婚ではなく、友達になりたい、そんな映画。
なのに、ここでの評価が低くてびっくり。
確かに全体的に薄口な感じは否めない。
家族の絆的なドラマ部分も希薄だし、対組織との追いかけっこ、そこからのクライマックスもあまり盛り上がらない…。
いや、でも本当にそうだろうか?
家族のドラマは、次へのアクションへと繋げる動機として必要最低限の機能は果たしているし、何より中盤にあるあの人の奥さんをめぐるエピソードは、実にキング小説の人情部分として泣かせてくれるではないか。
クライマックスも確かにセキュリティゆるすぎ問題とかはあるが、チャーリーの活躍ぶりは爽快でありながら、どこか物悲しさもある。
独特の音楽も、エンディングの迎え方もひと昔感があり、僕は大満足な一本だった。