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僕らをつなぐもののchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

僕らをつなぐもの(2022年製作の映画)
3.5
レオネ君にはパパが二人。要は劣化版「キッズ・オールライト」なのですが、意外に悪くない。イタリア発さわやかなNetflixの新作青春コメディです。

レオネは学校のプロジェクトとして親友と一緒に自分の家族についての動画を製作中。そこに描かれるのはレオネご自慢の「パパ二人の愛に溢れた幸せな家庭」。ところが、気になる女の子も招待して開かれた自宅での結婚20周年ディナーがまさかのとんだ修羅場に... というドタバタなドラマコメディ。

知らず知らずの間に押し付けられているステレオタイプ、強き者の偽善、弱き者の仮面、我が身に起こって初めてわかる重み。メッセージが類似作よりもさらに「進んで」いて、「教材」としては非常にすぐれています。が、これを観て家族について考えましょう、後で感想文を提出してね的なノリで教室にて鑑賞させられる教育用ビデオみたいな、絶妙な安っぽさ(笑)。せっかくのメッセージがそれほど実感を持って伝わってこないのが残念な一方で、なんかこのB級感がむしろ癖になる味わいなのも否めない。

実生活でも同性結婚をしているパオロを演じる俳優さんが特に目立ちますが、全体に大げさなコメディ演技は好き嫌いが分かれそう。徹底したコメディテイストながら、はっきりと笑えるのは数えられるほどで割と大人し目なのが心地よい。サブストーリーがぐちゃぐちゃ多いのですが、いずれもきれいにまとまっているのも好感です。

みんなスマホで文字打つスピードが宇宙人並みに高速。コツを教えてほしい。ワイン vs. プラダ。うーん、私はどちらも詳しくないですが、やっぱりワインのほうが圧倒的に被害が大きい気が。

感動作ではないですが、メッセージ性が高く、さわやかで満足度の高い作品でした。
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