銀の森

僕らをつなぐものの銀の森のレビュー・感想・評価

僕らをつなぐもの(2022年製作の映画)
3.9
ゲイの父親二人と息子レオネの家族の、彼らを繋げるものについて描いた映画。
ゲイの家族を理想化せずに描いている映画はまだまだ少ないので、彼らも普通の家族(そもそも「普通の家族」という表現もどうかとは思うが)と変わらず、軽薄な不倫もするし仲たがいもするし、息子がその環境を当たり前だと思う幸せな瞬間もたくさん経験してきているというのを描いているのが非常に良かった。

「新しい家族」に対する偏見や、ゲイの両親に育てられたから息子のレオネもゲイなのではという勘違いなど社会にまだまだ残るステレオタイプを身近に描いている点が非常にいい。
若い世代は、年配の世代よりはそういうものを理解しているとして友人のアンナも母親を偏見の塊を批判するが、そういう彼女も実はレオネやその家族に対するステレオタイプから自由になれていなくて、その批評的まなざしがすごい。そして、レオネとの交わりによってそれが解けていくさまも。
パオロとシモーネがお互いへの復讐のために相手の好きなもの(ワイン、プラダのスーツ)をめちゃくちゃにしてしまうシーンは、思わず笑ってしまったが、それと同時に悲しさも感じ秀逸なシーンだった。
生みの母であるデデとレオネの、近すぎず、いざとなったら頼れる関係性もよかった。
そして、子どもの認知など社会の法律的な問題点も提起し、家族を繋ぐものとはなんなのかという普遍的なテーマへと昇華していく。

ゲイの家族というテーマに真摯に向き合っていて、
もっと多く人に見られてほしい映画だ。
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