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貞子DXのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

貞子DX(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

貞子フランチャイズ初のコメディ映画。

狂人の怨霊と絶滅しつつある天然痘ウィルスがタッグを組んだ呪い、という『リング』『らせん』の設定がきちんと活かされている。世界観監修に原作者の鈴木光司。

怖さよりも大きな声で怖がらせるとか突然出てきてぶつかりそうになってびっくりとか、ジャンプスケアを追求している。ちょくちょく笑いを差し挟んでくるので、製作陣も怖がらせようという気持ちはゼロだろう。

コメディ担当の占い王子のキャラは「命を助けてくれたIQ200の女の子を白馬の王子様と思い込む」という、ラブコメ少女漫画タッチでよかった。

コメディタッチで終わるが、「一日に一回観れば死なない」というのは割と嫌な呪いである。2020年以降のコロナの拡散ぶりや度重なるワクチン接種といった世相を盛り込んだ感はある。

それにしてもここまでお笑い路線してしまっては、恐怖映画に戻すのはなかなか難しそうである。ホラークイーンの治世の実質的終焉と言っていいのではないだろうか。全世界、あまねく場所に貞子が増殖した、死なないための処方箋はある、というていで結末を迎える。身近な愛する人の姿を借りて貞子が現れる、だからヒロインの死んだ父親も毎日、妻であるヒロインの母親の元に現れ、それを母親はうれしそうに迎え入れる、というとぼけたタッチで終わっており、印象としてはゾンビになった親友とゲームを楽しむ場面をエンディングに持ってきたエドガー・ライトの『ショーン・オブ・ザ・デッド』がいちばん近い。「1998年から24年、頑張ったね、おつかれさま」と製作陣が貞子に肩叩きしているような気分になった。
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