Morohashi

破戒のMorohashiのレビュー・感想・評価

破戒(2022年製作の映画)
5.0
昔の小説であり、過去に映画化されたことが何度かあるが、すごくテンポが良くて見やすい映画だった。
撮影の仕方、編集の仕方が素晴らしい。
間宮祥太朗の演技が素晴らしい。
映画のテンポがいいから良い映画とかそういう話じゃないことはわかっているけれど、少なくとも部落差別を体験として知らない世代が歴史を学ぶためにこの映画に触れるわけだから、そういう要素は大切。


海外ではしきりに差別のことについて問題になるけれど、さも日本ではそういった問題がなかったかのような話をする人がいるが、それは違う。
日本でも歴史的に差別問題はあった。仕事が卑しいっていうだけで店を追い出されたり、仕事に就けなかったりすることがあった。
こういったことがいかに理不尽であるかは作品からわかるが、でも現代でも身分や学歴による差別はなくならない。
結局は強者が自分をよく見せるために他人を踏み台にしているだけに過ぎない、とても勝手な理屈なのだが。

差別される側は、身分を隠すことに徹するわけだけれど、隠すことによって誰もを疑ってかかり、誰も信頼できなくなっていく。
矛盾したことだが、都合の悪いことほど打ち明けたほうがより深く知れて仲良くなれるもの。
つまりウソをつくな、っていう話は結局は自分自身のため。
とはいえ、ウソをうかないと生きていけない環境を作っている社会にも大いに問題はある。
社会の潮流がああいう形で変わったってことは、やっぱり人同士の付き合いにはいつだって可能性があるんだと思う。
Morohashi

Morohashi