みんと

破戒のみんとのレビュー・感想・評価

破戒(2022年製作の映画)
3.9
出来れば市川崑監督版を観たいところだけれど、間宮祥太朗もイイとの噂を聞いて思い切って鑑賞。

結果、予想以上に良かった。
間宮祥太朗が素晴らしかった。

島崎藤村の名作小説の映画化。(恥ずかしながら原作未読、更には“破壊“をイメージして観始めると言う失態)

地元を離れ部落出身を隠して奉職する小学校教師 瀬川の葛藤を描いた作品。

差別の根深さに衝撃を受ける。明治後期の話でありながら、現在でもこの作品のテーマに強烈に打ちのめされる。それはきっと、人間というものは本能的に理不尽な差別をする生き物だと思い知らされるからだと思う。

間宮祥太朗の端正な佇まい、常に伏し目がちで、ここぞというときに相手の目を見る演技が印象的。ひたむきに子供達を導く先生ぶりは大石先生ともオーバーラップしてジンと来る。

交わらない視線、もどかしい間合、差し込まれるスローモーション、エモーショナルな映像…恋の部分は切なくキュンとする。

なんと言っても説得力抜群の最後の授業。
算数を教えるよりも、漢字の読み書きを教えるよりも、生き方を教える。
先生本来の姿じゃないかと思う。

勝手に何かを壊す“破壊”をイメージして観たせいか、なるほど!父からの戒めを破る『破戒』だった事が更に沁みた。
みんと

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