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破戒のクリームのレビュー・感想・評価

破戒(2022年製作の映画)
3.6
教科書的な内容で、分かりやすいと思います。小説の映画化なので、これで良いし間宮祥太朗主演で爽やかな仕上がりの作品でした。丑松が子供達に学ぶ事の大切さを伝えるシーンは、部落出身の彼の言葉として凄く重みがありました。

瀬川丑松は、部落出身である事を隠し、小学校の教員として働いていた。丑松は父から絶対にこの村の事は隠し通せと言われ、守って生きて来た。下宿先で部落出身である事がバレた客が石を投げられ、追い出されるのを見た丑松は蓮華寺に引っ越します。そして、丑松は、部落出身を公言している作家で活動家の猪子蓮太郎に感銘を受け、傾倒して行き、考え方に変化をもたらすのでした。



ネタバレ↓



校長を始め学校関係者、生徒達でさえ、差別主義であった。親友の銀之助も心無い事を言う。絶対に言えない状況だが、部落出身でも頑張り屋の生徒と接し、実際に猪子蓮太郎に合って話す内に自分の行動に疑問を感じ始めていた。蓮花寺の養女·志保への思いも部落出身が故に告げる事さえ出来ない。そんな中、猪子が刺し殺された。
郡視学の甥で、校長のお気に入りの文平は、教員らに教員の中に部落出身のものがいるという噂を流したり、志保に丑松の出自や悪口を聞かせるのでした。
丑松は、銀之助に噂は本当で、自分は部落出身だと告白します。銀之助は無神経な発言をして来たことを詫びた。
そして、丑松は決意します。生徒を集め、最後の授業で、自身が部落出身であると告白します。自分は卑しいとされる身だが、皆さんに正しいと思う事を伝えてきたと…。今まで騙していた事を謝ると生徒達は、辞めないで欲しいと止めます。
しかし、東京へ向かう事を決めた丑松の元に銀之助が志保を連れて現れ、志保は丑松について行く事にしました。そして、生徒達が2人を見送りに来ます。
丑松は、生徒達にけして諦めず、学んで下さい。学んだ事は、皆さんを助けます。と言って去って行くのでした。

部落差別がなくなったとしても、新たな差別が始まる。人は弱いから差別をする、猪子蓮太郎が丑松に言った言葉は、良かったです。差別はなくならない。実際、部落差別(同和問題)は、現在も無くなっていません。実話を元にした作品に比べると穏やかで、ちょっと物足りなさを感じてしまったが、沢山の人が知るには、丁度良いのかも知れません。
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