このレビューはネタバレを含みます
何度も父の戒めが聴こえる
誰も信用するな。
猪子蓮太郎にさえ
自分の出自をあかせなかった
瀬川丑松。
部落差別について描きながら
女性差別や地域格差
戦争に翻弄される庶民のことも
描いている。
どの差別もまだある。
差別の理由は
人間が愚かだからというより
猪子蓮太郎の言うように
「人間は弱い」から。
社会的地位があるからといって
(政治家、僧侶、教師)
人間性が高いとは限らない。
丑松の友、土屋銀之助の篤い友情。
出発する丑松の手を取る
志保も心強い。
子どもたち、愛らしい。
静かな描き方で
それが却って良かった。