このレビューはネタバレを含みます
吐き気を催す悪趣味の極みでした。最悪という言葉以外が見つからないので、そうした作品がお好きならおすすめします。
口論から自殺を仄めかしていた夫が落下する瞬間に窓から目が合ってしまったことがトラウマになった主人公。田舎のペンションでリフレッシュしようとするも、記憶からは逃れられずパラノイアする。
記憶と自己嫌悪と罪悪感が、田舎になんとなくある不安を掻き立て最悪の権化になって襲ってきます。
「愛憎」なんて言葉があるけど、性と愛がこの物語の根幹で、それはもちろん相手と自分と向き合うことなので、美しい良い面もあるけど、全体で見れば歪んだ汚い面とも向き合うことでもある。なので拗れれば自分の想像を遥かに超えた腐臭を放つグロテスクにもなり得る。負い目が恐怖になるから自己嫌悪するわけです。
男性に対する恐怖、夫の死に対する逃避と負い目、妊娠に対するコンプレックス、自身の性欲などが土着のアニミズムと絡み合って具現化した「同じ顔」は不安の現れとしてよく現れてたのかなと思います。
またナンセンスな比肩かも知れませんが、同じような不安をテーマにした作品ではヘレディタリーやミッドサマーなどのアリ・アスター作品が浮かびましたが、あっちは崇高な儀式としての一種の美的感覚がまだあった分、謎の爽快感を感じられましたが、この作品にはそういうのは一切ございません。ラスト、唯一の希望と言える親友のお腹が出ていたのはもう最悪です。
わたしは鑑賞中退席したくなるほど寒気と吐き気と胃の痛みがあり、普通に具合が悪くなりました。良くも悪くも二度と見たくありません。評価もしたくありません。