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MEN 同じ顔の男たちのIDEAコメント休止中のレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
2.5
監督のデビュー作『エクス・マキナ』はお気に入り、さらにはA24制作とのことで喜び勇んで鑑賞。

はい。
A24を期待して、案の定A24で気分を害する。

親切心に下心あり、攻撃性のウラに弱さあり。
「男なんて皆同じだ!」と吐き捨てるが如くの描写に居心地の悪いことこの上なし。
さらには、虐められる側に原因があるのでは?とでも言いたげなある男のセリフに嫌悪感がフル稼働、終始不快な物語であった。

しかしながらA24作品、想定内の事態ではある。
『ミッドサマー』で感じたような美しさと気持ち悪さの同居した画作りはこの道のファンにとっては一見の価値あり。
(あまり進みたくないA24道…。)

ホラー好きにはありがたいジャンプスケアもご用意いただき、雰囲気も不穏感に首を絞められるような不快な温度感で怖い。
(私はホラー苦手なためジャンプスケアにちょいギレ)

ちょい怖で超不快なホラーをお探しの方におすすめだ。
(二度と見るかァッッ!バーローォォ!)

…と言いつつもこんな作品をわりと楽しんで観たことは秘密。墓場まで持って行きます。


パンフレットは非常にシンプルながら手に取ってみると「あれ?表紙ザラザラしてる。しかもタイトルのとこラベルシールじゃん?」
意表をつかれる。
デザイナーさんのTwitter情報によると、紳士服の生地とタグのイメージらしい。『MEN』だからか。『MEN』だからなのか。紳士服を着こなすような紳士的な男は出てこなかった気がするが、男性のイメージということだろうか。ともあれ、作品に続きパンフレットまで謎の多い仕様で大変良い。


(以下、軽いネタバレ含む考察です。)




彼女に起こった狂気の出来事の数々は、夫の自死を目の当たりにしてしまった心的外傷からくる幻覚(や妄想の類)だったのかも…と思えてくる。
だからこそラスト、心ここに在らずといったあんなにもぼんやり曖昧な表情だったのではないか。

男たちの顔が同じだったのも、自分の世界に閉じこもって外を無意識にシャットアウトしてしまっていた影響に感じられるし、怪物との対峙も幻覚(怪物の抜け殻を助けに来た友人が目撃したようには思えなかった)、車に追いかけられたのも幻覚(村に到着時に自損した?)…などなど、パンフレットを読んでも答えがわからない以上、考察して楽しむしかないのであろう。