このレビューはネタバレを含みます
ロリー・キニアのバーゲンセールかよ!
いや、それよりもロリー・キニアの世界一気持ちの悪いマトリョーシカの余韻がすごい。
ロリー・キニアからロリー・キニアが生まれてそのロリー・キニアが更にロリー・キニアを生むという頭おかしいとしか思えない映像の暴力。
この生むシーンのがマジで気持ち悪いし、ずっと生み生まれ続けていて、直視に耐え難い。すげぇもん作ったなぁ!!!
ロリー・キニアはほとんどの男性を演じているのですが、演じ分けがすごい。油断していると、同じ顔をしていることを忘れて、自然に別人と認識してしまうほど。
内容については色々な解釈が取れそうですが、パンフレットの監督のインタビュー記事を読むに明確に"このような意図がある"という表現はされておらず、観客がどのように解釈しても良いという性格が強そうです。
シラー・ナ・ギグとグリーンマンのビジュアルから着想を得たとのことで、メッセージ性としては実はあまりなく、ひとつひとつのシークエンスを楽しむのが正解なのかなと思いました。
個人的には森を散策していたところ、全裸の植物系ロリー・キニアに追われるシークエンスが良かったですね。家の中を覗いているのが最高でした。
アリ・アスターの映画とかでもポンと全裸の大人が出てくるのですが、合理的な理由もなく衣服を身に着けていない人物がいるというのは、かなり怖い。
まず、視覚として衝撃的であり、ある意味思考が麻痺するのでしょうね。その後に通常の思考をしていない人物であるということを理解します。ここで、形としては人であるものの異質な未知の化け物に遭遇したように感じるのでしょう。
だから、全裸の大人が出てくるホラー映画は大好きです。
また、本作は音楽についても不気味で良かったです。トンネルでこだまする声で遊ぶ実に楽しそうなシーンから、輪唱のような不気味な声楽を作るとは脱帽です。
予告編でこのこだまシーンは気持ち悪かったですものね。
ネットをみると色々な解釈や考察がされていますが、実のところ何かを伝えたくて作ったというわけでなく、単純に作りたいものを繋ぎ合わせた。みせたかったのはシーンのひとつひとつというのが自分の解釈と考察です。