朱音

MEN 同じ顔の男たちの朱音のネタバレレビュー・内容・結末

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

終盤のシーンのインパクトが強過ぎて前半が薄れてる感じする。
でも森林での雨やトンネルの反響シーンなんかは綺麗だった。何気ない日常だったはずなのにちょっとした不穏な出来事で段々と蓄積されていた恐怖が一気に溢れ出す感じ。

ハーパーは精神的暴力と身体的暴力で「男性」に嫌悪を抱いていたから田舎の村の何気ない会話で「男性優位」な発言に敏感だったし,ズケズケとデリカシーの欠片もないジェフリーの言動が生理的に無理で「男の顔」が同じ顔に見えていたのでは。。
トンネルでは男性に阻まれて目的地に辿り着けないハーパーが描かれていたし。男性に支配され続ける女性を象徴しているみたいだった。

終盤の出産シーンは…キリスト教がちょいちょい出て来ていたけど,「禁断の果実」を食べたのがアダムとイヴの罪ならば,代償の「男性の一生の労働」「女性の出産の痛み」が時代錯誤な考えで女性も働く今の時代,男性に出産の痛みを与えなければ代償として成り立たないのでは⁇とちょっと納得してしまった。
ハーパーの表情が恐怖からだんだんと諦めというか同情というか,変わって行ったのも印象的だった。何度生まれ変わっても「男性」そのものは何も変わらないと言われているみたいだったから。
最後に出て来た元夫は会話の後にハーパーの手で終わらせたんだと思う。
元夫からの支配・束縛を克服出来たって。
ラストの微笑みはそう言う意味なのかなって。

ただ、全てがハーパーの妄想だったのかと言われると違う気もする。ライリーが来た時に破損した車や家の中に続く血を見ているから。真面目に考察を考えるのがいけない事のように感じる作品だった。
朱音

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