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MEN 同じ顔の男たちのシノのネタバレレビュー・内容・結末

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

これは「女性を恐怖のどん底に陥れてやりたいぜ、僕ちゃんを受け入れないなんて許せない!無償でケアしろ!怖がらせるのは愛をくれないお前が悪い!」という最悪のミソジニーを映像化したものか、「男ってマジキショい、ノットオールメンと言いたいけど正直好きな人以外は全員キモいし怖いからマジで!」というミサンドリー(とまではいかないか)(と思うのは私が女だからか…)を映像化したものか、観た人の属性によって変わる映画だなと思った。
何度も出てくるたんぽぽの綿毛は「強姦されて相手が逃げても妊娠はしてしまう(綿毛のようにどこからきたかわからない)」のメタファーだと思ったし、何度も繰り返し産まれるシーンも逃れられない強制的な力を感じた。しかも本来なら出産をできない男性の身体がやってるのがグロい。
みんなが同じ顔に見える、警官・神父・子供という通常なら脅威にならないだろうという属性の男性が全員キモかったのも「誰でも安心では無い(のが職種や外見だけでは分からないから全員を警戒せざるを得ない女性への負担)」の皮肉かなと。
キリスト教の素養が少ないから拾えない部分もあったけどとにかくずっと心休まるシーンがなくてキツかった。
一緒に観た夫は最後の連続出産シーンで笑いを噴き出してたけどまあビジュアルのインパクトで笑っちゃうのもわかる。ただ自分はシスヘテロ女性だから笑えなかった…(というのを観終わったあと夫に言ったら「確かに、なるほどな」となっていた)

最後に来てくれた女友達が妊娠してたのにも理由があるのかな、幸せで望んだ妊娠も不幸で望まない妊娠も等しく女だけに課せられる残酷さとか。

わからないグロいだけの映画と一蹴するのも簡単だけど、そしてこの考えが合ってるかも謎だけど、まあ一回は観て良かったなという映画でした。人におすすめはしないけど。個人的にはミッドサマーより断然キショかった。あとほんのり何故か哭声の雰囲気を感じた。
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