てっちゃん

MEN 同じ顔の男たちのてっちゃんのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
4.0
劇場で予告を観た瞬間に、これは、、、!私案件ではないか!!と思ったので、劇場に喜び勇んで行きました。

本作の監督であるアレックス・ガーランドさんの「エクス・マキナ」が非常に好みであったのもり、注目していた監督さんであったのですが、そんな彼が期待通りにやってくれました、、、

めちゃくちゃ変な映画です。
本作は所謂、”考え方、捉え方は人それぞれです系作品”なので、鑑賞中に襲ってくる数多くの謎は解決されることもなければ、当然のように鑑賞後もすっきりすることはありません。

なので、感想も人それぞれであり、評価はそれぞれであり、映画とは本来、そういうものだと思っているのですが、本作は私好みであったと言えます。

ではどこが気に入ったのか、印象に残ったシーンとかを含めて書いていきます。

・なんといってもラストシーンでしょ!
本作、ラストシーンはすごいです。
確実に脳裏に焼き付き、こびり続けるタイプのやつ。
え?え?えー!!→うわ、きついな、、、→うげ!!!→え?え?→あわわ、、、→は?え?→きもちわりいな→もう、やめたげて!!→もう、いいです。お腹一杯です。→まだやるんかい!→そうなるよね、、、って感じです。

・ジェシー・バックリーさん好き!
本作の主演である彼女ですが、とんでもなく素晴らしい役者さんですね。
パンフによると、あまり意識せずに演技をしたということですが、こちら側との距離感を感じる。
ふとしたときに見せる柔らかい表情から、一転して暗い重い表情になるところが印象的。

・千と千尋みたいな感じ?なのか
いろんな考察ができるのが本作ですが、私が思ったのは、”トンネル”が異世界(精神世界)への入り口であった説。
つまりは千と千尋みたいな感じの世界だったのではないか説。
そう思って観てみるのもいいかもしれませんよ。

・外と中
卑猥なことを思った方は私だけではないはずですが(くだらんくてすみません)、本作は”外と中”という構図が非常に分かりやすいものになっている。
家の外と中、部屋の外と中、、さらに扉が何度も出てくることから、自分の深層部分に入ってくるもの、締め出すもの、ということになっていくのではないでしょうか。

・グリーンマン
グリーンマンは”男”であり、その存在は汚れていない”男”本来であり、変わらないものでもある。
前知識ゼロで観たので、鑑賞中は”性別とは関係ない。純粋なモノ”として捉えて観ていました。

・わたげのシーン
本作で印象的なわたげ。
あきらかに性行為を彷彿とさせる表現として使用されており、たんぽぽの花言葉は”真心の愛”。
ラストシーンで、主人公と夫が交わす言葉は?夫が最後に言った言葉は?
「愛」についてである。
そう思って観て、考えると、ぞわぞわくる。

・映像美よ、、、
感嘆するしかない映像美が堪能できる。
それがリアルすぎて、作り物感すらある感じが本作と非常にマッチしているように感じました。
特に音のつくりこみ、反響する感じが非常に好みでした。

・同じ顔なんだよな?
邦題で盛大にネタバレしてくれているのですが、鑑賞中まさか全員が同じ男だったとは気づきませんでした。
一緒に観に行った方も同じ顔だとは気づかなかったみたい。
それでも忘れないロニー・キニアさんのお顔。

・嫌悪感
本作を観ていて感じるのは嫌悪感。
閉塞感とも似ているように感じた。
なんでここまで”男の嫌な部分ばかり”を描いたのか。
答えは単純で、”そうしないと分からないし伝わらない”から。
でもそれだけではないような気がする。
本作は性別なんて関係なく、日常に起こりうる嫌悪感を描いているからだ。
この嫌悪感の正体は、鑑賞する度に変わっていくだろう。

あれこれ書いてきたけど、本作鑑賞前に入った鯖料理専門店よかったな。
また食べよっと思った鯖食べたくなる映画でした。
てっちゃん

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