2023年、127本目。
日頃、女性がうっすらと抱いている男性への恐怖と嫌悪感を皮肉を込めてグロテスクに具現化した物語。
同じ顔なのは個人ではなく、あくまで"男性性"に対するものであるからか。
少年の体にあの顔がくっついているのは不自然で気味が悪かった。
明示されない結末は観る人をかなり選ぶ。
前半の美しい風景と対比する後半のおぞましさに背筋が凍る。
主人公の夫の脅し文句は単純に支配的な恐怖でしかないし、司祭や警察官の台詞には怒りを感じた。
無自覚である事もこの作品の男達全てに当てはまる。
こうして脈々と受け継がれる呪いのような"有害な男性性"をここまで気味悪く描く映画は観たことがない。
何かを悟った冷ややかな女の目も印象的だったし、最後の微笑みの意味するところは何だろう。
友人が妊婦だったというのも皮肉過ぎてゾッとした。