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MEN 同じ顔の男たちのCANACOのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.1
アレックス・ガーランド監督・脚本作品。同氏の作品初見。ジェシー・バックリーとロリー・キニアがほとんどのシーンを占める、実質二人芝居的な映画。

夫の自殺を目撃し、それが自分の責任であるという罪悪感を抱えた未亡人・ハーパーは、傷心を癒すため田舎の田園地方に大きな屋敷を借り、滞在する。そこで出会う男たちの行動や不思議な現象に徐々に違和感を感じ始め……という物語。

A24配給のホラーということで、綺麗グロいだろうと事前にネタバレをチェックしてから鑑賞。ですが、ラスト付近まではっきり明かしていないサイトを見てしまったため、私はわりとダメージ受けました。怖いというよりグロい。

パッケージは白雪姫を想起させる感じで、自然豊かな風景や映像はとても綺麗。だけど「本能的なホラーにした」と監督は言っていて、実際は人間の生殖的な描写に踏み込んでいるため、かなり好き嫌い分かれそうです。

監督が「観た人によって違う解釈ができるように意図して作っている」と名言している通り、考察のしがいがあるというか、どう考察してもアリという作品。

ジェンダー色が強く、女性から見た男性のイヤな部分を丁寧に描いている点も好き嫌いが分かれそう。女性としては理解できるものの、これを見たところで気分がよくなるわけではなく、ゆえに「何がいいたいのか」が気になるのですが、その辺りの解決も期待できません。「男性に幻滅した強いオンナが見る世界」かもしれないです。

主人公のパーシーは静かに強く、「ギャー!」(涙)とか言わないタイプ。周りからあまり影響を受けないマイペースタイプに見えるので、普通は一生トラウマになるレベルのこの物語も、実はそれほど彼女に影響を与えていないかもしれない。

カップルで見るとわりと気まずい作品に入りそう。私は結論を観客に預けない(投げない)作品が好みなのですが、あれこれ分析してトークするのは楽しいかもです。
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