うどんよりそばやろ

MEN 同じ顔の男たちのうどんよりそばやろのネタバレレビュー・内容・結末

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

・『男性』の悪い部分が集まったものが敵。男性のあらゆる側面があのたくさんの男たち(というか夫のあらゆる側面?)。その特性は、
1殴る。
2性欲を満たしたい(しかも抗えない、女の体が俺にそうさせる という考え方)。
3許してほしい、よしよししてほしい(生まれたばっかのきもいやつが泣きついてくるシーン鳥肌だった)。
4家にいて欲しい。
5味方するふりして性欲。
6会話もしてこずただじっと見てるけどタイミングみて性的に襲ってくる(バーの端にいた男たち)
7『からかい』として暴言吐く(あのがきんちょ。もうそれがあいつにとっては日常。)

・綿毛は精子の比喩で、葉っぱ男に綿毛ふーされたあとに家に入って行ったのは女は家にいて欲しいという男の願望にそまってドアに手を入れられて(挿入の比喩?)手を握るけど、ぐっと持たれた瞬間抵抗できた🌱
・生まれ続けるあのシーンは、そういう男たちが継承され続けるってことが一つの意味かな?結局そのイズムは消えない。他にも意味がありそう。主人公が諦めていく重要なシーンでもある。ちょっとグロすぎだけど。
・風呂場での性暴力のシーンはほんまにキモすぎて近付くなって思ったけど屈するふりして刺せた。現実では屈しててしまうのがほとんどで…。あの神父のセリフの応酬は鳥肌と共に、実際あの考えを持つ奴が存在してることを知ってるからため息出た。
・殴った夫が最後『愛が欲しい』というけど与え合う愛じゃなくて与えてもらうことしか考えてないのが透けて見える。相手のことを見てない。もしこのシーンをみて男側に共感する人がいたら…冷静になって自分のキモさに気づいて欲しい😿
悲しいことに、女性なら誰しもあの同じ顔の男たちに既視感あるのでは。視野の広い男性も普段から自分の中にそんな側面もちょいあるなとか気づけそう。女性の悪いと言われる部分が強調される作品はよくあって(ヒステリック、よく泣く、お金をねだる、美貌しかなくて頭悪い)よく意識させられてきた。そのまあちょっと偏見も含まれた印象を避けるために頑張ってるし、まあそれでいいんだと思う。近年は有害な男性性の映画も目立ってきて可視化されてるから男性も自戒する時間つくれれば理解し合えそう。とりあえず片方が力持ってて抑え付けてくるのは間違ってる。

なにより特徴的だなと思ったのは、鬼畜なことしときながら『許してもらえる』と思ってること。実際男性のしたことは特に性的なことにおいては『いたずら』『芸の肥やし』などとして許される。『男の子やから、わんぱくやねー』と。だからこそ最近の女性は強く意志を主張しようとする風潮があって男性からしたら『攻撃的』にうつるんだろうな、、でも割と幼い頃から否定されたり抑え込まれることが多かったからそれへの抵抗や今まで黙ってきたことへの悔しさとか次世代のためとか、、色々理由があるってことを考えさせられる。自分の中にも最近は攻撃的な側面があって頑張って声に出してるし。普通の有害なことしない男性にもそこ理解して味方して欲しいなーと思ったり。女性も男性も痴漢の共通敵になろう!て最近よく言われてるみたいな感じで。皆で取り組んでこそほんまのフェミニズムなのかなと。
あと、話逸れるけどなんか今回ふと思ったのは、出産、母乳、妊婦、生理とかをエロの対象にすることもあれば恥ずべきおぞましいものとすることもあるの不思議だな。てかそういう女性特有の経験を全くしない側とする側の違いって大きいんだろうなあと。それが良い悪いじゃなくて、なんとなーく思った。痛そう、グロそう、可哀想、なんでこんなことするの?て思うかもやけど出産てこんなかんじともいえそう。
『私に何を求めてるの?』て言葉でほんまにそうやんなっておもった。主人公は今まではそういうものに応えようと、そして自分にも悪い部分があるのかもと考えてきた。でもそんな必要なんてみじんもないことに気づいたラスト。怒るのもやめて諦めきった表情からの『men』ていうタイトルでるのよき。結論、対等に思い合う関係が最高。