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MEN 同じ顔の男たちのshioのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.4
「結果的に生命が残った理由は生命が『増える』という性質を持っていたからだ。増えるために生命は姿形を変えてゆき、あらゆる環境に適応し、今日の我々に至る。より多く、より広く、より豊かに。つまり生きる目的とは『増える』ことだ。」
ー 進撃の巨人137話 ジーク・イェーガー


一言でいうとハラスメントコンプリート映画


何か主張があるというよりかは
問題提起に近いメッセージを感じました。
なので「何が言いたかったのかわからん」という
感想が出るのも当然かと。


以下、自分なりの考察。

この映画には色んなタイプの
ダメ男が出てきます。

・思い通りにならないと受動的攻撃を仕掛けてくるメンヘラDV夫
・ダサくて空気読めない田舎もんの管理人
・立場の強さを利用して近づくが、知識が邪魔して女性と話すとだんだんと説教じみてくる牧師
・仮面がないと女性とまともにお喋りもできない、礼儀もないただのクソガキ
・腕っぷしの強さだけが取り柄で脳みそ空っぽの警察官
・全裸でくっさいキモ変態

バカ、空気読めない、説教くさい、ダサい、パワハラ、セクハラ、脳筋、無礼、ユーモアがない、デリカシーない、お金ない、暴力振るう、汚い、臭い、弱い、小さい、情けない、仕事できない…

とまあ、現代における
女性に男性が嫌われる要因を
ことごとく網羅しています。

その中でも特に異質な存在なのが全裸男。
この男は教会に祀られてた神と同じような
草木が生えた姿に変身していきます。

「全裸」「草木」=「原始的な存在」とするのなら
この男は男性の最も原始的なレイヤーにおける
「性欲」を表しているのではないかと思う。

原始的な性欲は純粋である。
生物としての最終的な目的が
「増えること」だからである。

ただし、原始から時を経て
生まれてきたものが
前述のような性質を持った男たちである。

ここで気をつけなければならないのは
基本的に生物は「個体では出産できない」
ということだ。

全裸男(根源的欲求)から始まる
ラストの一連の出産シーンは
男が勝手に生み出した「男らしさ」のようでもあるが
女が求めた(拒否した)結果、生まれた「男らしさ」でもあるように思える。

そのことを察してか、
だんだんと主人公は呆れた表情を浮かべている。

ちょっと前に
「男性は女性に奢るべきか」論争が
話題になっていた。

個人的にはクソほどどうでも良い議論だが
議論とはどちらか一方の意見だけでは
成り立たない。

「男と女、両方がいて初めて成り立つ」
という意味では女性が生み出してしまっている
ダメ男像もあるのだと感じました。

宗教的な観点から見るならば
男も女も禁断の果実を食べた時点で
神の怒りをかった存在らしいですからね。
男も女もどっちも悪いんです。


最後に友人が来た時
「深夜に4時間も妊婦1人で運転させる」
ダメ男がいると分かったところで
お開きなのは秀逸。
※これも一見すると男がダメ男だが、妊娠してるのに深夜に急に超ど田舎まで行こうとする女もまたダメ女
みんな違ってみんな悪い。
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