かりんとう

MEN 同じ顔の男たちのかりんとうのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
2.8
ヘタレ男の優勝争いinイギリス

映画館に観に行かなくてよかった。
アレックス・ガーランドのピークはやはり「エクス・マキナ」だと思う。
「アナイアレイション」にしても今作にしても、やはり難解なのよ。
アナイアレイションはまだ映像美という観点から観られたけど、今作はひたすら気持ち悪くて不快。

A24から信頼を得て、満を持して鳴り物入りで公開したのが今作だというが、正直言って「男ってくっそ気持ち悪っ」という印象しかない。

物語序盤は非常によかった。
のどかで美しい田園風景とは対象的に、主人公が徐々に不穏な状況に追い込まれていく様なんかはドキドキした。

それが、怒濤のおっさんマトリョーシカで興冷め。
アレックス・ガーランドは人類雄のネガキャンでもしたかったのか??

「別れるくらいなら死んでやる!」という奴に限って本当に死ぬ勇気なんかない。
あのヘタレ夫だって、どうせ嫁に締め出されて上階からバルコニーづてに部屋に戻ろうとして脚を滑らせたに違いないのだ。
死に様までヘタレの極み。
令和の世にまでなって、男なんざに人生左右されてたまるかってんだい。
「君は一生罪悪感を抱えて生きていくのさぁ」とか、はぁ???残念ながら世の「離婚したがっている女性」たちは別れる旦那の生死なんて蛭子能収の四コマ漫画と同じくらいどうでもいい。死にたきゃ勝手に死ね。墓石にチン◯ンの絵でも刻んどいてやる。

結局は彼女が「苛まれて」この惨事を手繰り寄せたのか、土地の邪悪なものに取り憑かれたのかはわからない。(だって何も語られないし、描かれないから)
ラストシーンの状況からは何かしらの凄惨な出来事があったということがわかるが、観終えたあとに考察しようという気力も湧かない。

アレックス・ガーランドの世界観は今作を含めて、女の強さ、強かさ(したたかさ)であると思う。「いやぁ女さんたちはほんとすごいっすね、全ての男は女から生まれただけあって、俺ら男は敵わないっす!」っていうある種のリスペクトは感じるのだけれど、今作にいたってはやりすぎよ。なんかもうお腹いっぱいだし、彼の次回作には期待できない。
A24ファンがみんな迎合的だと思っているなら大きな誤算ですわよ。