けーはち

MEN 同じ顔の男たちのけーはちのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.3
DV夫の衝動的な死を目の当たりにしてPTSDの寡婦。ロンドンの喧騒を離れ田舎の貸別荘で気分転換するも、1人でゆっくり過ごしたい彼女にワラワラ寄って来るキモい男どもは、揃って同じ顔をしており──女から見た男のキモさが「田舎怖い」系民俗ホラーと悪魔合体。距離感のおかしなウザい別荘管理人、綺麗な自然の中に現れる全裸露出浮浪者、悪態をつく少年、無神経にべたべた触れて説教してくる司祭、ワンチャン狙いで奢ろうと話しかけてくるバーの客、女の性的被害の訴えを軽く見る警官……女にとっての有害な男の1人多役をこなすロリー・キニアは、よくも様々な角度から嫌悪されるこの配役を受ける気になったものだなぁ。彼の惜しみない役者魂で本作は成り立つ。文化社会学的なメタファー、宗教的な象徴を交えつつ、単にグロい描写もあるが、凝ったビジュアルと社会批判性も込みで何か高尚なものを見た気にさせてくれるA24ホラー。