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カーターのkuuのレビュー・感想・評価

カーター(2022年製作の映画)
3.8
『カーター』
原題 카터/Kateo. Carter.
リリース年2022年。上映時間134分。
チョン ビョンギル監督、主役のチュ ウォン、イ ソンジェ、チョン ソリ、キム ボミンが主演。
謎の任務の真っ只中に放り込まれた記憶喪失エージェントを中心に展開していく韓国のアクション スリラー映画。

自分は誰なのか。
なぜここにいるのか。
一切の記憶を失った男が乗り出す命懸けのミッション。
生き延びたければ、命令に従って人質を救出し、 危険なウイルスの拡散を食い止めることができるのか。。。

※ホラーではありませんが、結構残虐な描写がありますので視聴の際はお気をつけください。
(敵の口を口角から目に向かいカランビットナイフで切り上げるシーンはリアルでエグかった)

今作品は良くも悪くも2時間の目まぐるしい物語でした。
善と悪
狂気と耽溺
野望と忠義
行きつ戻りつの狂騒曲。
プロットは、デカめのセットピース。
乱痴気騒ぎのカスケード。
それを支える最も薄いシーツに剥ぎ取られワンショットのアプローチを没入の手段としてではなく、不可能なジェットコースターカメラワークを可能にする文体上の作為として扱う無限のフレームによって捕捉され目が回る
嗚呼目が回る。
チョン・ビョンギル監督のデビュー作『殺人の告白』(2012年。邦画でもリメイクされた)は、韓国の連続殺人犯スリラーをボンヤリさせたものやった。
同じく『カーター』もなんやら本質はボンヤリさせられた韓国のスパイ映画(ジェイソン・ボーン的にも見えなくない)。
韓国の単独無敵冷血(軍隊に匹敵するスキル、正確には大隊位かな)映画。
韓国のゾンビ風映画。
その他のジャンルをミックスした超・運動量のアクション冒険活劇に仕上げている。
これでもかと数珠つなぎに連結された構造のアクションシーケンス。
ある部分を抜き出したら、あの映画作品に何となく似てるって多々あるが、それでもこのとんでもない雰囲気を完全に表現することはできないかな。
ストーリー。
キャラに、演技。
ロジックに、物理学。
そして、非言語的な伝達によって信頼関係を生みだそうとするコミュニケーションスキルなど、カーターには、そのどれをも楽しむ時間はない。ただ、ビョンギルがいかに狂気の転換と火だるま式スペクタクルをエスカレートさせるか、その限界に挑むのを楽しむ時間だけ。
いや、個人的には十二分に楽しめたんやけど、生々流転する内容に好き嫌いがわかれそうです。
でも、アクションにおいて、荒削りながらVFXがカメラに何でもできることを証明してるかな。
浴場での斬ったハッタの大量殺戮。
スカイダイビングでの銃撃戦。
バイクの銃撃&渡り歩き白兵戦。
ゾンビを彷彿する感染者の多量の襲撃。
複数のバンやバイクの間を行き来する高速乱闘など、頭を回転させる必殺スタントワークと迸る暴力のショーケース以外のあらゆる映画的要素を犠牲にした映画がお好みなら、今作品はアクション映画珍品となる。
疲れるほど、魅力的で、狂おしいほど楽しい作品でした。
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