みむさん

The Pact(英題)のみむさんのレビュー・感想・評価

The Pact(英題)(2021年製作の映画)
3.8
ヨーテボリ映画祭にて。

ビレ・アウグスト監督作。デンマークの詩人トアキル・ビョーンヴィと「バベットの晩餐会」や「愛と哀しみの果て」の原作者として知られる小説家カレン・ブリクセンのヒリヒリした不穏な友情を描いたもの。

カレン・ブリクセンのアフリカでの生活や作家として成功していた頃ではなく、晩年のブリクセンと若き詩人との交流。

駆け出しの詩人ビョーンヴィが有名な小説家のブリクセンに目に掛けてもらえて興奮する気持ちは素人目で見ても憧れの人に会えた感覚で共感度高かった。
だが、この出会いが良くも悪くもビョーンヴィの人生を動かしていく….

ブリクセンの威圧感。成功者のそれという感じではなく、単に自分で若い男をコントロールしたい、思いのままにプロデュースしたい、支配欲丸出しみたいに見える。
ビョーンヴィの家族のことなんか気にしないし。

今でいうパワハラ寸前、若くてまだ無名なビョーンヴィはなるべく穏便かつ上手く付き合って自分の糧にしていくしかないのか。
自分を封じてまでブリクセンについていくか、自由に執筆してのびのび暮らすか。
その選択だけではなく、さらなるゴタゴタか起きるから大変。

これは友情という名の拘束・束縛じゃないか。
私はビョーンヴィの妻に同情しちゃう。

とても静かなドラマだったけど、内容は結構なドロドロ劇で見入ってしまった。

カレン・ブリクセンを演じたのはビアテ・ノイマン、「セレブレーション」「メン&チキン」にも出てた。