壁越し・隙間から覗くカメラと、表情で語るファルハ。
身を隠すための壁は、身を隔てる壁へと意味が変化する。しかしどちらも、目撃者・語り継ぐ者の視点ともいえる。
人間に絶対的に平等に与えられた生/死の瞬間、人の一生までもを蹂躙するのが、ジェノサイドだということ。(命からがら逃げ込んだ先で誕生した赤ちゃんにとっては、この映画の30分足らずの時間が、まさに一生だったのだ。)
序盤でイギリス人兵士に向けられたファルハの拳銃は、終盤に目の前の障壁を打ち壊し役目を終える。あくまで非暴力な手段で、闘い続けるということだ。