茜

PIGGY ピギーの茜のレビュー・感想・評価

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)
1.2
おデブ故にクラスメイトからいじめを受けている肉屋の娘サラ。
川へ泳ぎに行きいじめっこ達と遭遇、余りにも凄惨な苛めを受ける。
着替えを奪われほぼ裸同然で泣きながら帰宅している途中、さっきまで自分をいじめていた女子達が男に車で誘拐される場面に遭遇する。
立ち尽くすサラにそっとタオルを差し出す誘拐犯…そこからサラと誘拐犯の奇妙な関係がはじまる。

テーマは凄く面白いのに肝心の中身がスカスカ過ぎて何も伝わってこない映画でした。
前半は本当に面白くて、サラが受けるいじめの陰湿さも相まって感情移入はバッチリ。
誘拐犯とエンカウントしてからのドラマチックな展開にワクワクしたんです…が。

ただ今起こっている事を淡々と映しているだけという印象で、物事の背景や感情の描写が完全に放り投げられてる。
誘拐犯が何故サラに固執しているのか、誘拐犯や両親に対するサラの感情、人物の心の動きが映像から全く伝わってこない。
それ故に誘拐犯の感情的な振る舞いも、サラが終盤に見せる行動も、全てに於いて「?」しか残りません。
映画好きだから「意味分からん」の一言で切り捨てるの大嫌いだけど、これに至っては客に委ねすぎてて「作品から逃げるな」って気持ちしかねぇですよ。
すっげー勿体ない題材。常々思ってるけどこういう下手糞な映画こそリメイクすべきなんだよな映画業界のプロフェッショナルな方々は。

せめてこのフラストレーションが晴れる爽快さがあれば良かったけどそれも悉くヌルい。
映画の中でくらい馬鹿と屑は死ねって思ってるから聖人エンドも只々しらけた。
腕一本で満足すると思ったんならなめてるよなー。
恋愛も成長も青春も復讐も何も描けてない「逃げ」の映画。
茜