自分をいじめていた少女達を誘拐した男(シリアルキラー)にどこか惹かれてしまい葛藤する少女を描いたホラー。
その設定からぶっ飛んだ内容を期待していたらかなりシリアスな内容で、なんかアメリカンニューシネマにあるような鬱々とした閉塞感がある。
主人公サラはその体型からいじめっ子達に"豚"と揶揄される。そしてそのいじめっ子の中にはかつての友人もいる。SNSでは親も馬鹿にされている。
サラはそのコンプレックスからプールは人気のない時に行く。そこでいじめっ子に出会ってしまい、命に危険が及ぶようないじめを受けた上に衣類等を奪われる。
傷心の帰り道、いじめっ子達が男に車に拉致される所を目撃する。助けを求めるいじめっ子達。恐怖のあまり、何も出来ずにいるサラ。
ここで犯人は水着姿のサラを見て、同情の眼差しを向けた後にタオルを置いて去って行く。
自分を虐げる者を虐げ、自分には優しい存在。複雑な感情にサラは混迷する…
以下は自分なりの解釈ですが、ネタバレも含むので注意して下さい。
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犯人はサラの暴力性のメタファー?
リベンジの甘美。そして犯人はシリアルキラーであるという事は、暴力の快楽に囚われている。しかし自分には優しい、と言うか自分を愛している。「ハネムーン・キラーズ」などの過去の作品では類似的パターンにおいて従属し共犯関係になる。
しかしサラは混迷する中、理性的な選択をする。犯人を殺したがそれは生き残るためのエッセンシャルな暴力。そして様々な感情が入り乱れる中、サラはいじめっ子を助ける。
リベンジの誘惑に、暴力の衝動に打ち勝ったサラはラスト、血塗れになった姿で佇んでいるところをバイクに乗ったいじめっ子のボーイフレンドに拾われタンデムし去って行くシーンは彼女を受容する者がいる事と、彼女の前進(成長)を示していると解釈した