ノラネコの呑んで観るシネマ

PIGGY ピギーのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)
4.3
スペイン産のダークなホラーコメディ。
太った体型ゆえに、クラスメートの女子から「ブタ」といじめられている肉屋の娘サラ。
ある日いじめっ子たちが謎の男に拉致されるのを目撃し、助けを請われるもそのまま見捨ててしまう。
やがて男は、彼女の周囲に出没する様に。
サラはモラルと復讐心の間で揺れ動き、やがて男に対しても奇妙な感情を抱きはじめる。
主人公が全方位で葛藤しまくり、しかもそれを言葉にしないので、物語の着地点が全く読めない。
思春期のピュアな純情さとドロドロの闇が、一人の人間の中に同居していて、彼女自身どっちに転ぶのか分からないのだ。
基本幼いので、親の目を気にして行動が行き当たりばったりなのも、話の行先をより不明瞭に。
観客は、主演のラウラ・ガランの熱演にいつの間にかすっかり感情移入させられ、彼女がどの道を選ぶのか最後までドキドキ。
終始主人公に寄り添った映画なんだけど、デブはとりあえず食わせれば落ち着くとか、結構悪意たっぷりでシニカルな描写もあり、それがスパイスになっている。
これが長編二作目だと言うカルロタ・ペレダ監督、なかなかの策士と見た。