ツクヨミ

ガール・ピクチャーのツクヨミのネタバレレビュー・内容・結末

ガール・ピクチャー(2022年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

青春恋愛の幸福と苦しみを最初から最後まで描き、見るものに"ありのままの自分"を突きつけるリアルな人間関係模様。
予告編にてティーンな女の子の青春映画最新作って感じで紹介されており、最近記憶に新しい"ブックスマート"や"ネバーゴーインバック"などが好きな私はいてもたっても居られず見に行ってきた。
まず今作はフィンランドの高校?大学?に通うティーンエイジャーガール3人にスポットライトを当て、青春しつつ恋愛を謳歌していくストーリーになっている。男とセックスがしたくていろんな男に挑戦していくロンコ.たまたま客として出会った同性のエマに惹かれていくミンミ.フィギアスケートを頑張りつつアプローチを受けたミンミを溺愛していくエマ、彼女たちはリアルでなんでもないようでかけがえのない時間を過ごしていく、そんなリアルな恋愛模様を活写するのがシンプルに良いよなーと思う。
まあ結局は複数の男にアタックしまくるロンコパートと、お互い愛しあっていくミンミとエマパートをクロスカッティングや群像スタイルで描写していく。なんだがまじでミンミとエマの最悪なスタートから恋に発展する前半がエモーショナルだし恋する幸福と感情の高まりを映像で表すスタイルがすげー最高。全編に渡ってポップな音楽が流れているのもあるが、"ブックスマート"でも使われてたperfume geniusのslip awayという曲のシークエンスが映像とリンクしてサビになるとライトが激しく点滅したりハイハットに合わせて光が点滅したりする映像表現が素晴らしくエモーショナルで拍手したくなるし美しすぎて泣けるレベルだった。いつのまにか意気投合しディスコで踊りまくりキスに発展し付き合うようになる勢いがまじで青春の勢い真っ盛りーって感じ。
だが後半はそんな楽しそうなミンミとエマの関係性に影が落ち、エマは恋愛に熱が入りすぎてフィギアスケートに集中できなくなりミンミはそんなエマを見て身を引くことを考え出す。恋愛は熱が入れば入るほど実は脆く崩れやすいものだと思うし、ミンミとエマの関係性が崩れていく過程が私個人の元カノとの関係性に似すぎていて涙が止まらなくなった。ミンミとの時間は楽しいし好きで好きで堪らないがそのため私生活に支障をきたすエマ.自分の存在がエマの生活を脅かしているんじゃないかと考えてわざと嫌われて身を引くミンミ、どちらの考え方や性格もよくわからるし正直ミンミもエマも私自身のように見えてくる。恋愛というものがいかに人間性を露わにするかわかるし、この作品が"ありのままの自分"を気付かせてくれるのがめちゃくちゃ唯一無二。私ってこんな人間なんだと改めて認識できる素敵さ、"メイジーの瞳""WANDA"と並ぶ私個人の特性にリンクする特別な作品に出会えて感無量だ。
そして最後はお互いの想いが関係性を潰すと理解し、ミンミが成功したエマを見る表情と無言.会釈で語り合うミンミとエマの姿にめちゃくちゃエモくなる。ラストは友達のままでいようと笑い合う3人の姿、エンドロールの後に最初に戻ってしまったミンミとロンコの姿にもあーいいなと感じた。ロンコも自分なりに頑張ってみたけど結局ダメ、でも過程として体験は一生記憶に残るみたいな素晴らしいエンディングでもある。恋愛の始まりから終わりを丁寧に心情豊かに描いた秀作、私の恋愛における性格をめちゃくちゃうまく表現してくれた唯一無二さは絶対大事に心に閉まっておきたい。
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