甘酒

アイ・アム まきもとの甘酒のレビュー・感想・評価

アイ・アム まきもと(2022年製作の映画)
3.7
まぁ、とにかく阿部サダヲさんが今作品でもお見事でした。
空気の読めない、いわば少し変人だけど真っ直ぐでマイペースな中年男性をリアルに内包しているさまは唯一無二だなぁ。と。
そして、わめき散らす松下洸平さんも、
こんな嫌な感じの演技も出来るのか!と、意外に新鮮でした(笑
満島ひかりさんと阿部サダヲさんの空気感は言わずもがな。

「おみおくり」を命や魂を送り出すのでなく、
人間が生まれ、日々生活してきた日常人生を辿り、紡ぎ、送り出す。
【死】を題材にしているが【生きてきた】も考えさせられた“おみおくり”作品。

人生に深く関わった。とか、浅い付き合いしかなかった。とか
そんなのは関係無い。結局 一期一会だ。
人生に刻まれた時点でその人達とは巡り合わせ。
誰かの記憶に自分が生きていた証は刻まれる。

それぞれの人生にそれぞれの理由があって、一人で最期を迎える人もいる。
時には人を傷つけることもあるかもしれない。傷つけられることもるかもしれない。
そんなこんな も いっさいがっさい 含めて
誰かが少しでも懐かしんでくれたり、思い出してくれたり、
ほんの少しでも愛しんでくれたならきっとそれだけで十分。
死ぬ時にはきっと一生なんてあっという間だったと思うのかな∙∙∙。なんて。
だからこそ、どんな人のどんな人生も
『頑張った 頑張った』な、素敵な人生。

ラストに向けての展開も、この作品の深意を儚く美しく際立たせたと思う。
そう。このポスターの表情も。
観終わった後に改めて見るとそう思わせてくれる

観終わった後に、牧本さんを思い返すと何故か涙が溢れてきた。
そんな愛おしくも可愛い、そして面倒臭い(笑
まじめで真っ直ぐで愛に溢れた素晴らしい牧本さんに出会える。
そんな作品。
甘酒

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