ねこねここねこ

アイ・アム まきもとのねこねここねこのネタバレレビュー・内容・結末

アイ・アム まきもと(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

おみおくりの作法のリメイク。

こちらを先に観ていたら違うのかもしれないが、オリジナルを先に観てしまったのでどうしても点数は厳しめ。

牧本(阿部サダヲ)は孤独死した人のおみおくりをしている公務員。発達障害かグレーゾーンの彼は人の言葉の中の気持ちが汲み取れない。
彼の生活も規則正しいというかいつも決まった手順で変化に対応できないというか。
仕事は真面目にこなすが、すこぶるゆっくりマイペース。
そんな牧本が警察の遺体安置所にたくさん遺体を置くため警察官の神代(松下洸平)はいつも文句を言っている。

なぜ彼が孤独死した人にそれほど寄り添おうとするのかはわからない。もしかしたら自分の将来を重ねているのかもしれない。そんな彼は既に自分の墓地を眺めのいい場所に確保している。
ある日上司から効率が悪い無駄な仕事として部署の閉鎖を言い渡される。彼のおみおくりの最後の仕事となった蕪木(宇崎竜童)の葬儀に参列してもらおうと蕪木が過去に関わった人々を訪ねて歩く。
そして蕪木の娘塔子(満島ひかり)と出会う。

神代が蕪木の刑務所に収監されていた時の面会記録のコピーをわざと落として行くシーンは牧本の汲み取れなさがよく出てたと同時に神代の優しさがわかるシーンだ。
しかし塔子が牧本にこれからも会いたいという意味で「直前牧本さんから話が聴きたい」と伝えたシーン、汲み取れない、察することが出来ない牧本に果たして塔子の気持ちは伝わったのだろうか?発達障害として描いているならそれを一貫して欲しいなと思う。

そもそも阿部サダヲを主演に据えたとしてもコメディタッチにする必要があったのかは謎。オリジナルがすごくいいのに無理に変えなくても良かったのでは?と残念。

阿部サダヲ自体の演技はやはり素晴らしいし松下洸平もいい味出してる。最後は神代が牧本をみおくりながら蕪木の葬儀に参列する多くの人を見て「あんたの粘り勝ちだよ」と呟くのも。ここはオリジナルと異なりちゃんと神代がみおくってくれていることにホッとするシーン。

まぁでもやっぱりオリジナルは越えられないな。

それにしても宇崎竜童、ラストしか登場しないのにすごい存在感。歌も良かった。虹を超えて、牧本が安らかでありますように。