まるで満ちては欠ける月のように輪廻を繰り返す魂の物語。
こちらの月が隠れると同時に地球の裏側に隠れていた太陽が昇り、それが沈むとまた月が現れる。
そんなコインの裏と表のように2つの物語が紐解かれていく。
たとえ今は目の前から消えていても、月はなくなった訳では無く、今は沈んで見えなくなっているだけ。
有村架純ちゃんの持つかぐや姫のようなミューズ性と、少しレトロさを感じる時代や題材が映えて、なぜだか懐かしいような気持ちになる。
そのせいで、1度欠けて死んだように見える月が戻ってきても、不思議と繋がりを信じられる空気が流れている。
ブツ切れになったものを無理に繋げたのではなくて、繋がっているのだな、と感じられるのは、ひとえにあの独特なミューズ性がどこかファンタジックなこの世界にマッチしているからじゃなかろうか。
架純ちゃんもだけれど、伊藤沙莉演じるゆいが良い。
常に多くを語るわけではないけれど、大事な所では黙って友を信じ、必要だと思えば行動して手を差し伸べる。
あんな友達がいたなら、とても幸せだなと思わせてくれる。
そして終盤の柴崎コウも。
あれは、完全に予測できるけれど、それでも気持ちを持っていかれる。
ストーリーはちょっとファンタジックに過ぎる感じはあって、好みはあるだろうけれど、女優さんたちはみんな安定して良い。
でもそれを静かに繋ぐ大泉洋も流石。
おかげで私は「もうひとつの奇跡」の方を推したくなったよ。
ただ、どうしてもね。
一応クライマックス...なのかな?感動の再会のシーンは、実写ではどう見えてるかを想像しちゃって、ハマれなかった。
さすがにそこまで都合よくファンタジックな頭にはなりきれなくって。
あと、なんとなく匂わせ方が、実はまだこれより前の物語もあったのかもな、なんて余韻も残してるけど、多少の謎や秘密は残しておいた方が美しいのかもね。