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原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たちのmakoのレビュー・感想・評価

3.9
《我が国の原発の耐震性は極めて低い。》
◎79点

原子力発電の危険性を伝えるために人生をかける元裁判長。
放射線被災で一度はあきらめた農業を太陽光発電とともに蘇らせる福島の人々のドキュメンタリー映画です。

2014年。関西電力大飯原発の運転停止命令を下した樋口英明・福井地裁元裁判長は、定年退官を機に日本のすべての原発に共通する危険性を社会に説く活動をはじめた。それは、原発が日本で頻発する地震に耐えられない構造であることを指摘するシンプルかつ、誰もが分かる揺るぎない“樋口理論”である。
そして、日本中の原発差止訴訟の先頭に立つ弁護士・河合弘之は、この“樋口理論”をもって新たな裁判を開始した。

樋口英明氏もその活動も知らずに鑑賞したら驚くような内容でした。
原発の耐震性を分かりやすく解説されていて、またしても政府の杜撰さが分かりクラクラした。
樋口さんの解説を聞く限りとても安全とは言えないのにそれでも原発を運転させてる。
確かに原発がないと電力は賄えないかもしれないが、これから南海トラフ地震や首都直下地震も起きると言われているのに運転させて大丈夫なのかと心配になりました。
福島の原発事故、奇跡があったからあの程度で済んだという話を聞いて、もしそれが起こらなかったらという話がありゾッとした。
本来起きてはいけない構造的欠陥が、結果的にそれで救われたという奇跡。
そして本作でも黒塗り文書が出てきてまたかと思わされる。
原発の耐震性の数値が低く、住宅メーカーの耐震性より低いって驚きました。この国、本当にヤバいな。


一方、被災地福島では放射能汚染によって一度は生業を離れた農業者・近藤恵(けい)が農地上で太陽光発電するソーラーシェアリングに農業復活の道を見出す。近藤は、反骨の環境学者・飯田哲也の協力を得て東京ドームの面積を超える日本最大級の営農型太陽光発電農場を始動させる!福島で太陽光発電農業を実践する農業者たちは口々に言う、「原発をとめるために!」と。

こちらの方は、原発を止め、環境にもいい太陽光発電で農業復活を目指す農業者たち。
ただ、ソーラーパネルの問題点には言及されず、良いところばかり紹介されていたのが気になった。
太陽光発電は、環境に優しいと謳われているが、デメリットもいくつかあるのに。
なので、点数減点にしました。

でも観てよかったです。
また勉強させて頂きました。



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劇場鑑賞 #130
2022 #143
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