団地が美しい辛口ドラマ
優しさゆえの、一筋縄ではいかないすれ違いが丁寧に紡がれています
「揺れる」の深田監督が脚本と編集までこなし手塩にかけた秀作
とにかく主演の木村文乃さんの女優としての魅力が溢れていました
永山くんの良さも生きていて
俳優陣はみなさん素晴らしかった
繊細な心理描写と展開が読めないハラハラ感は、集中力が要求され、ともすると没入を妨げてしまう場合もあるかも
ただ、自分は終始牽引力に満ちている作品だと感じました
その魅力にはハラハラしたり、グッときたりちょこっとにんまり‥‥と多彩な表情があるのですが均整がとれていて素晴らしいと思いました
ただ全体的に辛口
とにかく視点が鋭いなあ、と感心
福祉課に務める夫婦が主人公で、ともに使命感があり仕事熱心です
団地をこんなにも美しく映した作品をわたしは知りません
あるシーンの背景になるダム湖も美しかった
え、ここでタイトルがバンっって出るの？ やられたー、というおまけ付き
最後のロングショットは、とても印象的で
歩いていく二人の姿に希望を感じます
若いカップル向けではないかも
ちょっと気分転換に、というより
人生や家族についてじっくり考えたい時に
（けして難解ではありませんが）
⭐️どのように人物を描き、何からその背景を浮かび上がらせるのか？そういった点で、脚本や演技の質がとても高い水準にある映像作品でした
⭐️砂田アトムさん、素晴らしかった その存在のリアルさ、滲み出てくる誠実さ‥‥
⭐️雨の中の揺れるようなダンス
この作品を象徴する印象的なシーンです
地味ながら、映画祭レベルという雲の上にふさわしいかと
⭐️贖罪がテーマの作品が多い中で、この作品は克服がテーマなように感じました
特殊な環境を通じての語り口ではありますが、誰にでも当てはまる普遍性が響いてきました
⭐️矢野顕子さんのスムースな陶器のような歌声に、ハッとさせられます
