このレビューはネタバレを含みます
徹底して視線を交わさないまま行われる会話が言語のすれ違い、本音のすれ違い、感情のすれ違いを起こし、錯綜していく様が非常に良かった。
一つの命が失われた後、部屋に残った痕跡、過去から現れた人物に縋るようになっていく。その為に主人公が思ってもみなかったような場所へ精神的にも物理的にも連れて行かれた風に見えた。
映画が進むにつれて木村文乃氏の挙動が削がれていくように見えたが、久しぶりの大きな動きが韓国映画で登場人物がままならない状況にしてしまう動きとしてのダンスで、こういう演出を自分は日本映画で初めて観た(踊ってる場所は韓国だが)。
神野美鈴さんが本当に凄い。
序盤の優しげな部分を見せてからの「でも次は……」の、スイッチを切り替えて話すのではなく、流れるように言うからこそ出る不意打ちの鋭さ。
そして中盤のベランダでの煙草を吸いながらの会話に息を潜めて痺れる。
着想元となった曲が途中で流れるのだが、その使い方はあまり好みではなかった。