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LOVE LIFEのごはんのレビュー・感想・評価

LOVE LIFE(2022年製作の映画)
5.0
穏やかな日常が一変する…本当に一瞬過ぎて呆気にとられる…
ラストは何を思えば良いのか、モヤモヤした気持ちが残るけれど、
見てよかったとも思えた作品。

誰かに感情移入、誰かをフォローしたい気持ちにはなるけれど、
それぞれがどこか身勝手で、こちらの思いを細切りに裏切られるよう。
それでもそれぞれの置かれている状況を考えると怒るに怒りきれないもどかしさ!嫌になるけど人ってそういうものかという気もする。あーでもなー


「元夫パクさん」
パクさんがちょくちょく手話で伝えてくれる言葉はいつも優しくて、良い人じゃん…って思うんだけど、
今思えば彼のそういう部分や人の優しさにつけ込むような生き方はマイノリティ側、弱い立場で生きてきたからこそ身についた処世術でもあるんだろうな…
彼なりの生きていく手段だと思うと一概に悪くは言えないかも…
ただ夫の言うように彼は弱くない1人でも生きていける強さがあるんだと思う。
勝手に手話は万国共通なのかと思ってたけど、違うんだね。
手話同士なら国籍違っても誰とでも話せるとかだったら素敵なのにね。

「逃げた猫を探しに」
パクが拾ってきた猫を妙子、二郎、パクの3人探しに行くが・・・
猫には悪いがどう考えても猫よりも大事なことがあるだろ・・・
あの場面での夫二郎の置いて行かれている感じがかなりキツかった。
でも妙子が1人で地震にあった時、夫が何をしていたのか考えると夫に対して素直に優しくなれない。
しかも夫が猫見つけたからって「猫はあなたを選んだ」って、その猫あとはよろしくみたいなのは、パクさん無責任過ぎて…
「妙子の背中」
終盤の妙子の背中を映してのシーン、雨にも打たれてやぶれかぶれなあの背中…どうしてあげたら良いものかと…
もう笑うしかないではないけど、もう踊るしかない…

「LOVE LIFE」
LOVE LIFEのタイトルが出るタイミングは静かなシーンなのになんか圧倒される。
そしてその瞬間LOVE LIFEとは…なるほどって感じ。
その後散歩に出かけた2人はどこまで散歩に行くのだろう…


本作は日本語以外に韓国語と手話が出てくるけど、きっとこの閉塞感とか含めて体感するのであれば日本語しかわからない人が見た方がより本作の表現している疎外感とかを体感できると思う。

周りにある色や服の色なんかもしっかり意味がある気がするし、
それこそオセロなんて人物たちの裏表感情を表しているかのよう。
序盤に出てきた物や話が後半などでも意味を成す構成も素晴らしかった。

なかなかタイミング合わなくて、まぁいいかぁとなっていた作品だけど、見れて良かった!
いい気持ちで終われる作品ではないかも知れないけど、いろんな人に見てもらいたい!
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