『淵に立つ』『よこがお』の深田晃司監督作品。
2作ほどの強烈なインパクトは無く毛色が違う事は頭に入ってた。筒井真理子主演じゃないこともあって。笑
矢野顕子の同名曲にインスパイアされ、愛する夫と息子と暮らす女性が、突然の悲しい出来事を機に葛藤する姿をリアリティをもって描いたヒューマンドラマ。
う~ん、、、しみじみ深い。
矢野顕子の歌詞が全身に染み渡る感じ。
ラストのタイトルの挿入がカッコイイ。
解釈を委ねられるエンドロールへの流れも余韻の残し方も巧い。
ドキドキ、キュンキュン、スペシャルな何かは無くても日常そのものが美しいとでも言いたげ。
裏を返すと、愛なんて実に曖昧で、自分の中の感情さえ分からず、惰性の愛を愛と思い込み日々を生きているとでも。
更には、人間自体が流動的で、どんな風にも変化する掴みどころのない生き物なのだとも。
愛だけじゃなく、人生も死も日常さえも、登場人物それぞれの立場で考えさせられる作品だった。
そして、改めて“LOVE LIFE”の歌詞の深みを感じた。
毒が無さそうな薄味が逆に毒味とも感じる描き方は、やっぱり監督らしさに通じるのかな?