ドキュメンタリーとは思えないほどリアルかつ美しい生活や風景が描写されていた。
野菜、果物、花、樹木を育て、土をいじり、水をやり、料理をして、というシーンが好きだった。
私の地元は九州の田舎の方で、盆地や、広い畑や、桜の木や、薪を割り、庭いじりをする姿にどこかに懐かしさを感じた。
生活の細かなディティールが主題を語る上でもそこで生きている人を立体的に描写している気がする。
教会の前で、キリスト教徒のおじちゃん達とお互いを尊重できるかと思いきや、ムスリムは人を殺す、という先入観を言われてしまう。
(自分があの場にいたらどんな顔をしていただろうか)
それでも「(教会に)入っていいよ」と言われたのが良かった。
# 子どもたちについて
あの家の女の子はなんていい子なんだろう。
日本のあの年頃の家の女の子が率先して家業を手伝うだろうか。
そして、あの歳の子供たちはサマーキャンプ的なイベントであんなに打ち解けられるだろうか?ディスカッションするシーンも大人過ぎる。
そして河原でカラースモークで遊んでいる姿は幻想的とも言える美しいシーンだった。
監督のねらいとしてあの地で混ざり合う何かを表現していたのだろうか。
# アボ
ガイドの男性アボがいいキャラしてる。
ハッピーバースデーを歌ってもらえるシーンを観てるとフィクション作品に出てくる過去を背負うイケオジキャラみたいだった。ただし彼が抱えている葛藤や戸惑いは現実のものである。
彼は映画の人物ではなく生身の人間である。飛行機でジョージアに行ってパンキシ渓谷のゲストハウスに行けば実際に彼に会えるのだと思う。
あまりによくできた映画でウェルメイドな物語のようであるが、あの場所で生きている人達の戦いが現実に今もあそこで続いている。