千年女優

かがみの孤城の千年女優のレビュー・感想・評価

かがみの孤城(2022年製作の映画)
3.5
中学入学早々にクラスメイトからのいじめが理由で不登校が続く中学一年生女子で、優しい言葉をかける喜多嶋先生が待つフリースクールにも通えずじまいの安西こころ。引きこもる自室の鏡からオオカミの面を被る少女が住む城へと誘われた彼女が、同じ境遇にいる六人の中学生たちと願いを叶える「鍵」を探す一年間を描くアニメ映画です。

直木賞作家で映画化もされた『ハケンアニメ!』らで知られる辻村深月が上梓して100万部超のヒットを記録した本屋大賞受賞作を、原作者自身も希望した『クレヨンしんちゃん』シリーズや『カラフル』の原恵一の監督で映画化した作品で、辻村を神様と慕う芦田愛菜を始め當真あみや北村匠海ら豪華なキャストが声優として物語を彩ります。

いじめを主題にした青春譚でも構造に切り込む鋭さや深さはなく、あくまで現在苦境にいる子供達に寄り添うスタンスで展開し、やや子供騙し感のある仕掛けで作品が至るところも「その場しのぎ」に留まります。それでもその「その場しのぎ」こそがまずは重要なのだという姿勢をぶれずに貫いて同じ境遇の人を勇気づけようとする一作です。
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